臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
舩越先生のZoomレクチャー2024・・・ER診療の大原則
6月5日に東京ベイ浦安市川医療センター救急集中治療科(救急外来部門)部長の舩越拓先生にZoomでレクチャーを行っていただきました。
舩越先生のことは、このブログで何度も紹介していますが、救急領域では名が知られた存在の先生で、多くの監訳や著書があり、レジデントノートなどの雑誌の企画も行っています。
編集長とはIVRつながりから兄弟子、弟弟子という関係で、コロナ前からレクチャーをお願いしていました。昨年に引き続き、今年度も4,5回はレクチャーをしていただく約束を取り付けて、今回のレクチャーとなりました。
今回は年度初めでしたので、「ER診療における大原則」というテーマでお話いただきました。その中から内容を少しシェアしたいと思います。
ER診療の特徴を整理すると以下の4つになります。
①⼀般病棟と違うところ → Problem searching
ERは患者の何が問題なのかを明らかにする場
②専⾨医と違うところ → Rule out worst scenario
ERでは診断に固執せず、最悪のシナリオを除外する
③⼀般外来と違うところ → Vital sign
バイタルサインは裏切らない、バイタルに異常がある患者は安易に帰宅させない
④⽇中とちがうところ → Egalitarian(平等主義者)
救急患者のすべてが緊急性を要しない。通常の医療システムから抜けた患者が緊急の顔で来ているだけ。相⼿の事情をまずは理解してなにかできないか考える
なるほどですよね。そして研修医は①のProblem searchingがなかなか上手くいかないことが多いのですが、そのTipsも紹介してくれました。
問題解決のためのTipsは、とにかくΔ(デルタ)をはっきりさせる ことです。
“ここ最近で急に調⼦が悪くなって”で終わらせない
・そもそもどういう状態なのか(もともと歩けていた? 寝たきり?)
・いつからそれが損なわれたのか(何日前? 何週間前? 何か月前? 何年前?)
・それに対してどうなっていたのか(悪化している? 不変? 改善傾向?)
・なんで今、ここに来たのか
・そもそも、その情報信頼できますか(本人? 同居家族から? 非同居家族から?)
ぜひあなたもこの点を意識しながら患者さんの話を聞いて、問題点を明らかにしてみてください。
(編集長)
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