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水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
【本日より受付開始】第23回水戸医学生セミナー
お待たせしました!お知らせしていた第23回水戸医学生セミナーの募集を本日から開始します。
その前に、このブログで「水戸医学生セミナー」について少し紹介してきましたが、改めて説明させて下さい。
水戸医学生セミナーとは2010年から新型コロナ流行前の2020年まで20回を開催した医学生向けのセミナーです。水戸済生会総合病院とお隣の水戸協同病院との共催で、全国の医学生が参加し、リピーター参加者もいるなど好評を博していました。20回も開催していたので、参加した医学生はのべ190名以上いて、セミナーに参加した医学生が当院や水戸協同病院の初期研修医となってくれた人も多くいました。
そんな水戸医学生セミナーを今年3月に復活させることにしました!
21回目はコロナの影響で中止となり、ウェビナー形式で22回を開催していましたので、今回が23回目となります。
今回は日程の都合で水戸済生会総合病院の単独開催となるので、「メディカルラリーで救急のエッセンスを体験しよう」をテーマにBLSやACLSの内容はもちろんのこと、外傷患者の対応を学べるJATECや災害や多数傷病者対応のMCLSのエッセンスを、1日目に講義と実技練習、そして2日目にメディカルラリーで体験していただきます。特に救急領域に関心のあるあなたは、是非ともメディカルラリーに挑戦してみてください!
詳細とお申し込みは下記URLをクリックし、ページ最下段のお申し込みフォームからお申込みください。定員になり次第、受付を終了させていただきます。
【開催概要】
【日程】 2025年3月15日(土)、16日(日) 1泊2日
(1日目は13時開始予定。2日目は13時30分終了予定です)
【場所】 水戸済生会病院
(宿泊は水戸市内のビジネスホテルを予定)
【対象】 全国の 医学部 3、4、5年生 計12名
【内容】 1日目 JATEC、MCLSを中心とした講義と実技
2日目 水戸済生会総合病院でのミニメディカルラリー
【費用】 参加費、宿泊費は無料(病院までの交通費はご負担ください)
過去に参加した医学生の感想は・・・・
<第18回参加者>
・何をしてよいか分からず焦るという体験を学生のうちにできてよかったです。次はできるようになりたいという思いを強くしました。
・冷や汗をかきながらもリアリティのある症例を体験できてよかったです。
<第17回参加者>
・1日目の講習で勉強したことを、メディカルラリーで実際に体を使って体験する形式は、とても頭に入りやすかったです。
<第16回参加者>
・難しかったけれどとても勉強になりました。
実際に動いてみる経験ができて良かったです。
・現場に出たときに自分がどのような問題に直面するのかを知るための良い機会だった。
詳細とお申し込みは上記URLをクリックし、ページ最下段のお申し込みフォームからお申込みください。定員になり次第、受付を終了させていただきます。
(編集長)

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水戸済生会総合病院の臨床研修は
総合診断能力を有するスペシャリスト
を目指します
◆病院見学に来ませんか?
当院の研修医がどんなふうに仕事しているのか?どんな生活を送っているのか?
あなたの目で確かめてみてください!
病院見学をご希望の方は、下のフォームからご連絡ください。
なお、病院見学がむずかしい時は、Zoomで個別説明会を行っていますので、
下のフォームに「Zoom希望」と記入してご連絡ください。
↓
頭が真っ白になりました・・・
「冷静に考えればそんなに難しいことじゃないのに、あの場でいろいろ言われると頭が真っ白になる・・・・。できなかったことは悔しいけど学生のうちに「知っているのとできるのは違う」ってことに気が付けたのは大きな収穫でした。」
これは以前に開催した水戸医学生セミナーでのメディカルラリーを終えた直後の参加者の言葉です。ラリー中に、この医学生が何をしていいのか分からず立ち尽くしていたので、終了後にスタッフが「どうでした?」と尋ねたらこの言葉が返ってきたそうです。
水戸医学生セミナーでのメディカルラリーは、医学生と研修医の4,5名が1チームとなって、約20分間のステージ中にスタッフが演じる患者のトリアージ、診断、処置を行い、その点数を競うものです。スタッフは臨調感あふれる演技で、参加者を戸惑わせます。冒頭の医学生は、外傷患者を評価して、それに続けて現場での処置をしようとしていたのですが、別の傷病者役のスタッフから「はやく何とかしてくれ!」と大声で言われてしまったことで頭が真っ白になったのです。
あなたが知識としては知っている、理解していることでも、実際にやってみると出来ないことは多くあります。「そんなに難しいことじゃないのに・・・、」と、「できない自分」と今のうちに対峙しておくことは、これからの臨床の現場に出ていくあなたにとって間違いなく貴重な経験になります。
そんなメディカルラリーを体験できる水戸医学生セミナーを今年3月に復活させることにしました。来週には募集開始できるように準備を進めていますので、このブログのフォローをお願いします!
(編集長)

第19回医学生セミナーでの
メディカルラリーの一コマ
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ちょっと想像してみてください・・・
研修医になって、もう10か月目です。
あと数か月すれば、新しい研修医も入ってきます。たまに指導医に注意されることはありますが、仕事の段取りもスムーズにできるようになりました。ER当直も、最初のようには緊張しなくなり、とりあえず体は動くようになったので、ちょっとだけ自信も出てきた感じです。医学生のあなたも、来年の今頃はきっとこんな状況になっているはず。
でも、ちょっと想像してみてください。
もし、あなたがER当直をしている時に多発外傷患者が搬送されて来たら・・・。
しかも3人同時に搬送されて来たら・・・。
上級医が来るまでのわずかな間とはいえ、患者さんを目の前にして、何から手を付けたらよいのか、最初に何をすべきなのか、あなたは準備が出来ていますか?
こんな時に役に立つのがJATECです。JATECはJapan Advanced Trauma Evaluation and Careのことで外傷患者への初期対応を定めた、言ってみればACLSの外傷版です。
もしあなたがJATECを知っていれば、当直中に重傷多発外傷患者が搬送されて来ても、慌てることなく初期評価・初期対応が出来ます。少なくとも外科医や上級医が来てくれるまでの場をつなぐことがあなたにもできるようになります。研修医になって、最初の外傷患者に遭遇した時から、役立つことを実感できるでしょう。
ただしJATECは受講の機会が少なかったり、費用も高いなど、あなたが受講するには少々ハードルが高いのが実情です。でも、水戸済生会ではコロナ前まで医学生のあなたにもJATECのエッセンスを学んでいただくセミナーを開催していました。それが水戸医学生セミナーです。
水戸医学生セミナーとは2010年から新型コロナ流行前の2020年まで20回を開催した医学生向けのセミナーです。水戸済生会総合病院とお隣の水戸協同病院との共催で、全国の医学生が参加し、リピーター参加者もいるなど好評を博していました。20回も開催していたので、参加した医学生はのべ150名以上いて、セミナーに参加した医学生が当院や水戸協同病院の初期研修医となってくれた人も多くいました。
そんな水戸医学生セミナーを今年3月に復活させることにしました。21回目はコロナの影響で中止となり、ウェビナー形式で22回を開催していましたので、今回が23回目となります。
JATECのエッセンスを学べる水戸医学生セミナーの募集をもう少しで開始します。
救急に興味があるあなたにはもちろん、何でもできるようになりたいあなたも、救急は正直怖いと思っているあなたにも必ず役立つ内容です。
もう少しでご案内できますので、このブログのフォローをお願いします!
(編集長)

第19回医学生セミナーでの
メディカルラリーの一コマ
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TAFな3X
年明け早々にER当番をしていたら、バイクの単独事故の患者さんが搬送されてきました。橈骨動脈は蝕知できるけど、脈が速く、皮膚は冷たくしっとりしていて、意識もイマイチです。何より呼吸がおかしいことに、あなたも一目見て分かりました。聴診すると胸部で呼吸音に左右差があります。そのうちに橈骨動脈も触れなくなってきました。
何が起こったのでしょう?
↓
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今回は胸部外傷の患者に遭遇した時の対応についてです。外傷患者でもABCDEが基本となりますが、B(Breathing & Breast)の評価には「呼吸・頸部の評価と致命的な胸部外傷の処置」が含まれます。
モニターで酸素飽和度や呼吸回数の変化に注意を払いながら、胸部では
・外傷性出血は?
・胸郭挙上は?
・左右差は無いか?
・奇異呼吸は?
・呼吸音の左右差は?
・胸郭の動揺は?
・圧痛は?
・皮下気腫は?
・頸静脈の怒張は?
・呼吸補助筋の使用は?
・気管の偏位は?
これらを素早く評価して、すぐに処置をしないと致命的な疾患を見逃さないようにします。
致命的な胸部外傷を疑う状況では「TAFな3X」が役立ちます。
TAFな3X(タフなスリーエックス)とは、
T:Tamponade Cardiac 心タンポナーデ
A:Air way obstruction 気道閉塞
F:Flail chest フレイルチェスト
X:Open pneumothorax 開放性気胸
X:Tension pneumothorax 緊張性気胸
X:Massive hemothorax 大量血胸
これらはABCの異常がオーバーラップしているので生命に直結してきます。
ERで行う処置は、気道確保、人工呼吸、陽圧換気、胸腔ドレナージですが、複数を併発していることもあるので、繰り返しの評価も重要になります。
冒頭の症例は、緊張性気胸を起こしていたため血圧低下を来していましたが、ドレナージで改善できた症例です。外傷患者では素早い評価と対応が重要ですね。
(編集長)

ERで申し送り中
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心停止の鑑別・・・6H6T
あなたが年始からER当番をやっていたところ、救急要請が飛び込んできました。
「70歳台の男性のCPA(心肺停止)症例です。自宅で胸痛を訴えたあとに突然意識を失いました。」
10分かからないうちに救急車は病院に到着しました。救急隊員が車内で点滴ルートを確保してくれて、胸骨圧迫を続けいていますが、まだ自己心拍は再開していません。あなたもERの看護師さんらとともに、手際よく胸骨圧迫を代ったり、薬剤投与を行います。
でも、この時にあなたには、もう一つやらなければいけないことがあります。それは何でしょう?
↓
↓
それはCPAの原因を探ることです。なぜCPAに至ったのか、その原因がわからなければ同じことを繰り返してしまい、せっかくROSC(自己心拍再開)しても、その心拍をつなぎ留めておくことができなくなってしまいます。
蘇生と同時に、蘇生する先の「なぜ」を探る必要があります。その鑑別が「6H6T」です(5H5Tと言われることもあります)。
6H6Tとは、
Hypovolemia(循環血液量減少)
Hypoxia(低酸素)
Hydrogen ion(アシドーシス)
Hypo/Hyperkalemia(カリウム異常)
Hypoglycemia(低血糖)
Hypothermia(低体温)
Tamponade(心タンポナーデ)
Toxins(毒)
Tension pneumothorax(緊張性気胸)
Thrombosis coronary(冠動脈疾患)
Thrombosis pulmonary(肺動脈血栓)
Trauma(外傷)
この鑑別を常に頭の中に入れ、心肺蘇生法を行いながら、採血、レントゲン、エコーを隙間を縫いつつ行っていきます。蘇生の先を見据えて行動することで、救命~社会復帰を手繰り寄せることができるのです。
なお、冒頭の症例はROSC後に造影CTで急性肺動脈塞栓症と診断されました。ECMO管理で改善し、無事退院となった症例です。
(編集長)

慌ただしい年始のER
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新年のご挨拶
新年明けましておめでとうございます!
本年もこのブログをどうぞよろしくお願い申し上げます。
新年を迎えて、あなたは今年の目標、そして将来の目標を考えてみましたか?6年生のあなたなら今年の目標はもちろん国試合格ですが、臨床研修が始まってからの将来の目標も忘れずに考えてくみてださい。
さて、その将来の目標に絡めての話ですが、内科系であっても外科系であっても、何か一つの仕事をマスターするには時間が必要ですよね。単に仕事ができるのではなく、想定されるあらゆる状況下できちんと結果を出せるようになるには、かなりの時間が必要なことはあなたも想像できると思いますが、どのくらいの時間を考えておけば良いのでしょうか?
そこで、今回はあなたに「1万時間の法則」を紹介したいと思います。
「1万時間の法則」とは、マルコム・グラッドウェルの著書『天才!成功する人々の法則』で紹介された、ある分野で一流になるためには1万時間の練習や努力が必要だという話です。1万時間と言えば、毎日3時間の練習を10年間続けることに相当します。
10年と言われるとガッカリする人もいると思いますが、ここで注意してほしいのは、この法則を「何かに熟達するには1万時間の練習が必要である」「1万時間練習しないと技能を身につけることはできない」という意味ではないということです。
ちょっと考えればわかることですが、練習時間だけが全てを決めるわけではありませんし、効率よく学べばもっと短い時間で熟達できるはずです。必ずしも1万時間を費やす必要はありません。
でも、何かに熟達するには自分から勉強して、繰り返し練習して、フィードバックを受けて、また繰り返すことが必要で、それには時間がかかるものなのです。手技の習得だとこのプロセスはイメージしやすいですが、手技以外の業務でも同じことが言えます。
すぐに上達しないから、自分にはセンスがない、自分には向いていないと判断するのは賢いとは言えません。
そして、時間をかけて熟達するにはいくつかコツがあります。よく言われることですが、目標を明確にする、そして努力の対象を好きになる、努力を習慣化することで、熟達するまでの長い期間でもモチベーションも維持できます。
1万時間の法則は、医学生のあなたにも、研修医や専攻医のあなたにとっても、大いに参考になる考え方だと思います。長い道のりを歩む中で、日々の努力を積み重ねることが成長への鍵となります。2025年も、皆さんが目標に向かって努力し続けることを応援しています。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
(編集長)

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年末のご挨拶
早いもので、今日は大晦日となりました。北関東の年末年始の天気は崩れないようですが、日本海側は雪が多いようです。今夜から元旦にかけて寒さが一段厳しくなるそうですので、どうぞ体調管理には気を付けてお過ごしください。
さて、今年は元旦から能登半島で大きな地震があり、その数日後に飛行機の衝突事故というショッキングなニュースから始まった年でした。東日本大震災を経験した編集長としては、能登半島の地震は他人ごととは思えず、1日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
さて、当院の研修医たちを見ると、J2は自分の進路は決まったことで、新たなモチベーションをもって働いてくれています。J1も仕事をうまくこなせるようになって、だいぶ自信がついた顔つきになってきて頼もしい限りです。
4月からは10名の後輩たちが来ますので、水戸済生会の先輩らしい姿を見せられるようになってもらいたいです。
6年生のあなたは、いよいよ国試に向けてラストスパートになります。今まで幾多の試験を乗り越えてきたので問題ないはずですが、試験は最後まで分かりませんから、体調管理に十分に注意を払って頑張ってください!
さて、この記事が年内は最後になります。しばらく数えていなかったのですが、気づいたらブログも開始当初から今回で1379回目でした。こうして継続できているのもあなたに読んでいただいているからです。新しい年を迎えてもあなたにとって価値ある情報をお届けできるよう努力して参りますので、当ブログを引き続きよろしくお願いいたします。
どうぞ良いお年をお迎えください。
(編集長)

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高齢者にはDEEP-IN
ご高齢の患者さんがとても多いことにあなたも気づいていると思いますが、担当患者さんのなかで一番若い方の年齢が88歳とか、90歳以上の患者さんが5名いるということも珍しくありません。ERに搬送される患者さんも同様です。さらにご高齢の患者さんは合併疾患も非常に多く持っていることがほとんどなので、普段なら悩まずにやっていた点滴や薬剤の選択も悩んでしまいます。
高齢者の診療では患者さん全体を把握して、何を優先すべきかを考えることが大事で、逆に言えばあなたの腕の見せ所とも言えます。今回はそんな高齢者の診療に役立つDEEPーINについて紹介します。
DEEP-IN とは
D :Dementia,Depression,Delirium,Drug(認知機能、抑うつ、せん妄、薬剤)
EE:Eye & Ear(視力、聴力)
P :Fall&Physical function(転倒、身体機能やADL)
I :Incontinence(失禁)
N :Nutrition(栄養、体重減少)
これらのポイントを「すべての高齢者に」、「ファーストタッチの時に」把握することで、後の診療がが非常にラクになります。
一つずつ具体的に見ていきましょう。
D:認知機能は、家族のこと、服用している薬のことなどを質問して、あやふやな答えなら「認知症があるかもしれない」と把握しておくだけでOK。あとで改めてMMSEなどをやればよいでしょう。
D:抑うつは高齢者に高頻度に見られ、不眠を主訴にしている場合もよくあります。介入で改善する可能性があるものだという認識を持ちましょう。
D:せん妄は成書をみるといろいろ書いてありますが、「いつもと違う」状態と思えばOK。問題はその原因が何か?です。
D:薬剤については、高齢者のポリファーマシーが問題になっているのは聞いたことがあると思いますが、まず何を服用しているのか?どんな病名で処方されているのか?を把握すること。でもこれがかなり大変な作業になることがしばしばです。
E:視力についてはメガネの有無はもちろん、「目が見えにくくて、生活に支障ないですか?」と聞いてみましょう。
E:聴力も同様で、「聞こえにくくて、生活に支障ないですか?」と聞いてみましょう。
P:身体機能は杖や車いすの使用の有無、転倒歴(骨折歴)の確認をすればとりあえずOK
I:失禁については質問しにくいですが、大人用おむつを付けている人も多いので、聴診する時などにそっと確認します。
N:栄養は、おいしく食事を摂れているか? 体重が減っていないか?などの質問に加えて、ベルトやズボンのサイズが明らかに合っていないことなどを確認するのもいい手です。
お気づきと思いますが、このDEEP-INは疾患を診断するものではなく、高齢者の機能評価のツールです。検査や治療の計画を立てるときに、これらを把握しておくとスムーズに進みます。まずはざっくりで良いので把握してみてください。
(編集長)

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CPC開催報告
先週のことですが院内CPCを開催しました。
当院のCPCは、毎月開催されている水戸市医師会病棟検討会という地域の先生方にも参加いただく症例検討会の場を利用して開催していますが、昨年度からそれとは別枠で朝に開催するようになりました。

症例は80歳台女性で、心嚢液貯留で紹介された患者さんです。心嚢穿刺を行って、その細胞診からリンパ腫が疑われたのですが、急な経過で亡くなりました。
亡くなる前に行ったCTや心エコーではわからなかったリンパ腫の広がりが、病理解剖で明らかとなりました。また、直接の死因も解剖で明らかになるなど貴重な症例でした。
リンパ腫の分類にはいろいろあるのは知っていたものの、編集長的には知らないことばかりで、血液内科医と病理医で議論が白熱するCPCとなりました。
臨床側と病理側とで2名のJ2が関わりましたが、学びの多いCPCになったと思います。
(編集長)

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令和6年度修学生の集いが開催されました
茨城県では地域枠や修学生を対象としたイベントを行っていますが、毎年12月に修学生の集いを開催しています。医学生と研修医や専攻医、そして県内の研修病院の院長や研修担当者の先生達までが参加して、研修医らが中心に自分の経験した印象に残った症例発表を行ったり、交流会で情報交換を行うものです。
医学生にとっては、同じ地域枠や修学生の先輩から直接話を聞いて、国家試験合格後のイメージを持てる場になっていると思います。コロナの影響でWeb開催となっていましたが、昨年からリアルで再開となり、今年は先日つくば国際会議場を会場に開催されました。
前半の症例発表では、当院に在籍している地域枠・修学生の5名が発表してくれました。発表では自己紹介スライドと医学生向けのお勉強スライドをつけるのがお約束です。自分の経験した症例から学んだことをシェアする訳ですから、聞いている編集長も勉強になりました。
8つのブロックに分かれて発表しするのですが、今年はJ2の友永先生が優秀賞をいただきました!実は、昨年は当院研修医の3名が優秀賞をいただいたのですが、今回はレベルが高かったようです。その後は交流会で、医学生らともお話しすることができました。来年もお会いできるのを楽しみにしています。
(編集長)

発表中の平井先生
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