臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
COPDの話(1)・・・井上先生の呼吸器レクチャー
当院では10月後半から今月前半まで、院外講師のレクチャーが目白押しですが、先月に引き続き井上純人先生による呼吸器レクチャーが先日Zoomで開催されました。
タイトルは「喘息、COPDガイドラインを勉強して吸入指導をしよう」でした。この領域は井上先生の専門分野でガイドラインの委員も務めているので、毎回分かりやすく、キレキレのレクチャーになっています。
以前に喘息のことこのブログで紹介しているので、今回からCOPDのことをシェアしていきたいと思います。
過去の喘息の記事もご覧ください♪
【COPDの病態】
・喫煙によって肺が壊れる→肺気腫
・気管支が炎症を起こして通りが悪くなる→慢性気管支炎
この2つの病態が混ざり合って起こっている
【COPDの疫学】
WHOによると、世界で死亡者が多い疾患は①虚血性心疾患、②脳卒中に続いて、③COPDとなっていて、年間の死亡者数は300万人以上です。300万人と言ってもピンときませんが、世界中で2020年に新型コロナで亡くなった患者さんが200万人とされているので、その数の多さがイメージできると思います。
国内でも2020年の死亡統計では男性で10位になっています。一方で、COPDの患者数は22万人ですが、有病推定患者数が530万人と推定されていますから、わずか4.2%の患者しかCOPDと診断されていないそうです。
【COPDの診断】
気管支拡張薬吸入後のスパイロメトリーで FEV1/FVC(1秒率) が70%未満であれば COPDと診断しますが、上記のように診断されていない患者さんが数多くいるので、スパイロメトリーを使わなくともスクリーニングするためのツールがあります。
COPD Population Screener(COPD-PS)と呼ばれるもので、点数を見てCOPDの可能性を判断できます。専門医への紹介は4点以上となっています。
また、COPDと診断されている患者さんの状態を把握するためのツールとして、COPDアセスメントテスト(CAT)があります。40点満点ですが、10点以上で症状が強いと判断します。
(編集長)
レクチャー中の一コマ
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紫斑のみかた・・・徳田先生のカンファレンス2023秋
徳田安春先生をお迎えしての症例検討会が11月28日に開催されました。
この企画は茨城県が主催しているもので毎年恒例となっています。徳田先生が県内の各臨床研修病院をまわって症例検討会を行うもので年に2回開催されています。前回は6月でしたが、今回は2回目でした。
徳田先生は著書も多数あり、あなたも知っているかと思いますが、当院とは徳田先生が水戸協同病院に赴任した16年前からのお付き合いになります。
今回もJ1の二人が症例提示をしてくれました。まずは平尾先生が汎血球減少の症例を、そして福本先生が紫斑を伴う腎不全の症例を提示してくれました。二人ともスライドが分かりやすく良くまとまっていて、徳田先生からお褒めの言葉も頂きました♪
今回は福本先生の発表からシェアします。
症例は60歳代の男性。1か月前から両足背に紫斑が出現し、発熱と腹痛を主訴に近医を受診したところ、腎機能低下を指摘され紹介入院となりました。診断はIgA血管炎なのですが、これは後日改めてシェアするとして、今回は決め手になった紫斑について。
【紫斑のみかた】
まず、紫斑と紅斑を区別します。
・紫斑とは、血管から血液成分が漏れ出したもの → スピッツ等で押しても消えない
・紅斑とは、血管の拡張、充血によるもの → スピッツ等で押すと消える
紫斑と判断したら、触診をしてみます。
・紫斑部分が若干盛り上がったように触れるとき
‐炎症細胞が血管外に漏出している
‐まずは壊死性筋膜炎と感染性心内膜炎を除外
‐これらが除外できれば血管炎を考えていきます。
ANCA関連血管炎、IgA血管炎、抗GBM抗体関連、クリオグロブリン血症、リウマチ、
SLE、シェーグレン症候群、感染(HBV、HCV、梅毒)、薬剤性
・触れないとき
‐出血だけと考える
‐血小板の問題(抗血小板薬、ITP)
‐凝固の問題(抗凝固薬、DIC、肝機能低下)
‐血液疾患(血友病、白血病、再生不良性貧血)
‐その他(尿毒症、壊血病、老人性、薬剤性)
あなたも紫斑を見たら、触ってみて、この記事を思い出してください!
(編集長)
徳田先生とディスカッション中
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令和6年度採用予定者の内定式を開催しました
昨日のことですが、当院にマッチした10名を迎えてZoomでの内定式を開催しました。
我々の歓迎の気持ちや、同期になる仲間同士の顔合わせ、そして直接の先輩となる今のJ1に自覚を持ってもらおうという意図で昨年から始めた企画ですが、Nao先生の上手な司会で後半はだいぶ打ち解けてくれたようです。
最初に院長からの歓迎のあいさつと、内定者全員の自己紹介、直接の先輩となるJ1数名から歓迎のメッセージと続き、編集長のあいさつで中締めとなりました。
ここで院長と編集長のおじさんは退場して、Nao先生とJ1,J2らで入職までの素朴な質問を受け付けていました。今回は県内外から来てくれるのでアパートに住む場合には、場所はどの辺がいいのか?いつから探し始めるのがいいのか?など、具体的な質問が多かったようです。
国試までの時間は短くなってきましたが、体調に気を付けながら最後まで頑張ってください!
(編集長)
内定式の一コマ
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