臨床研修ブログ

水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。

髄膜炎のマネジメント

2025.12.06

松永先生の感染症レクチャーからです。テーマは感染症Emergency」でしたが、取り上げられた9つの疾患の中から、今回は髄膜炎を紹介します。

 

髄膜炎を疑ったときは、一刻も早く治療を開始することが肝心です。まずは、マネジメントの全体像を把握しておきましょう。

 

Empirical治療として、培養結果を待たずに年齢などを考慮して原因微生物を想定し、抗菌薬の投与を開始します(下表参照)。

 

 

ここで注意点は、髄膜炎の治療では「髄膜炎用量」で抗菌薬を投与する必要があります。血液脳関門(BBB)を通過して、十分な濃度に達する用量として設定されています。 

 

 

さらに、抗菌薬に加えてステロイド投与も行われます。具体的には、

デキサメサゾン0.15㎎/㎏(体重60~70㎏の人なら10㎎と覚えておくと便利です)

 

もちろん髄液や血液培養の結果が判明したら、適切な抗菌薬への変更も検討します。仮に、髄膜炎でなかったとしてもその時は抗菌薬の投与をやめればいいだけの話ですから、タイミングを逃さずに対応できるように普段から意識しておきましょう。

 (編集長)

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Toxic Shock Syndrome(TSS)

2025.12.04

松永先生の感染症レクチャーからです。今回のテーマは感染症Emergency」でしたが、取り上げられた疾患は、壊死性菌膜炎、ガス壊疽、TSS(Toxic Shock Syndrome)、MSSAの感染性心内膜炎、髄膜炎性菌血症、PSS(Postsplenectomy sepsis)、Ludwing angina、接合菌症、髄膜炎の9つがありました。

 

その中から、今回はTSS(Toxic Shock Syndrome)を紹介します。

 

症例は55歳の男性。3日前に胃がんの手術を行いましたが、術中・術後には特に合併症なく経過しました。ところが突然39度の発熱、水様性下痢をきたし、血圧70台のショックバイタルに。輸液に反応せず、全身性の発赤が見られました。検査データはWBC18000、Plt7.8万、BUN52、Cr1.8、CPK4200、AST231、ALT248、T.Bil2.1

 

こんな時に鑑別に挙げるのがTSSです。TSSは連鎖球菌またはブドウ球菌が原因で毒素による病態を呈します。

 

診断基準は、下記の6項目すべてを満たす場合にConfirmed、5項目でProbableとなります(本症例は、この時点で赤字の4項目が該当することになります)。

 

1. 体温38.9度以上

2. びまん性紅斑状発疹

3. 発症1~2週後の落屑(特に手掌・足底)

4. 血圧低下 SBP≦90mmHg(成人)、起立性低血圧症状・兆候

5. 陰性所見

  ①培養(血液・咽頭・髄液)*ただしS.aureusは可  ②抗体価(ロッキー山紅斑熱、麻疹など)

6. 多臓器不全(3臓器以上)

  ①消化管:嘔吐・下痢

  ②筋・骨格系:激しい筋痛、CK上昇(基準値の2倍以上)

  ③粘膜:膣、口腔、咽頭あるいは粘膜充血

  ④腎臓:BUNまたはCrの上昇(基準値の2倍以上)、膿尿(UTIなし)

  ⑤肝臓:T.Bil、AST、ALTが基準値の2倍以上

  ⑥血液 血小板≦10万

  ⑦中枢神経系:発熱、血圧低下がない時に意識障害かつ巣症状なし

 

治療としては、輸液などの対症療法に加えて、

・感染の原因の同定と除去

  タンポン、鼻パッキング、外傷、膿瘍などをチェックしますが、原因が同定できないことも多くあります。

・抗菌薬

  菌不明の場合:セファゾリン

  連鎖球菌の場合:ペニシリンG 400万単位を4時間ごと 

          ペニシリンアレルギーの場合はバンコマイシン

  毒素産生抑制:クリンダマイシン 900㎎を8時間ごと

・免疫グロブリン(IVIg)が有効とする報告もあり

 

有名なのは皮膚の落屑ですが、これは1~2週間後に見られるものなので、急性期には役に立ちません。TSSを鑑別に挙げて対処し、1~2週間後に答え合わせをするという感じでしょうか。

 

術後などで、発熱とびまん性の紅斑を認めた時には、忘れずにTSSも鑑別に挙げるようにしてください。

 (編集長)

 

レクチャー後はベッドサイドへ

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先輩が来てくれました♪(第2弾)

2025.12.02
カテゴリー: 初期研修

水戸済生会では6月頃と11月頃が面談の時期で、J2は進路(専門研修)の話、J1は次年度のローテの話が中心になります。そんな面談の時に、外科志望のJ1から「外科の実際のところはどうなのでしょう?」と質問を受けたので、先輩に来てもらう機会を設けました。

 

実は、今年8月にも産婦人科と救急科で悩んでいるJ2のために、産婦人科に進んだ先輩が来てくれました。

その時の記事はこちら

 

これに味を占めて、今回も水戸済生会で初期研修を終えて外科に進んだ先輩に声をかけたところ、後輩たちの役に立つのならと、先週当院に来てくれました。

 

来てくれたのは卒後5年目になる柘植先生。柘植先生は最初から外科志望で、筑波大学の消化器外科に所属しています。お子さんもいるのですが、バリバリ頑張っている先生です。

 

今回も研修医たちが用意したお弁当を食べながら、水戸済生会での初期研修を終えた後のこと、他院の違い、筑波大学の消化器外科の働き方、出産や子育てや院の進むべきかなど、先輩の実体験を聞きながら、いろいろと質問をしていました。

 

もちろん、あなたの進路を決めるのはあなた自身ですが、最終的に自分で責任を負うことになるし、これを他人のせいにはできません。また、進路選択の自由は、同時に不安との表裏一体でもあります。であれば、いろいろな先輩の話を聞いて、自分なりの判断軸を持つのが大事になってくると編集長は思っています。幸い、水戸済生会で初期研修を終えた先輩たちは快く応じてくれていますので、今後もこのような機会を作っていこうと思っています。

(編集長)

今回もお弁当を食べながら♪

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