臨床研修ブログ

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銅欠乏??

2018.05.17
カテゴリー: カンファレンス 内科

すこし間が空いてしまいましたが、

山中先生のカンファからです。

 

ベッドサイドでじっくり身体診察を

勉強させていただいた患者さんですが、

じつはだいぶ昔に胃切の既往があり、

採血データでは、Hb10.9g/dl Ht33.3% 

MCV101.2fl  MCHC33.3g/dlといった

軽度の貧血がありました。

 

MCVがちょっと大きい大球性貧血ですね。 

 

大球性貧血と言えば、巨赤芽球性貧血や

骨髄異形成症候群が鑑別に挙がります。

ここでは胃切の既往があるので、

巨赤芽球性貧血で良さそうです。

 

巨赤芽球性貧血なら、原因と考えられるのは

・VitB12欠乏(神経症状あり)

・葉酸欠乏(神経症状なし)

 

ここまではあなたも知っていると思います。

 

じつは銅欠乏も巨赤芽球性貧血に

なるそうです。(編集長は不勉強で

知りませんでした)

 

なので、もし胃切後の貧血で、VitB12も

葉酸も正常範囲なら銅欠乏を鑑別に

挙げましょう。

 

ここで銅欠乏をまとめると

・小球性、正球性、大球性貧血のいずれも

 呈しうる

 

・貧血の他に好中球減少症と神経症状で疑う

 

・VitB12欠乏と同様に神経障害(亜急性連合性

 脊髄変性症)を呈する

 

・骨髄生検では鉄芽球(Sideroblast)を

 認め、骨髄異形成症候群と間違われやすい

 

・診断は血清銅濃度、血清セルロプラスミン

 濃度の低値

 

・銅欠乏を来しやすい状況としては

 慢性下痢、吸収障害(セリアック病、

 クローン病など)、胃切後、減量手術後

 など(特に胃切後はリスクになる

 そうです)。他に、高亜鉛状態でも

 銅欠乏が起こるそうです。

 

高亜鉛状態と言ってもピンと来ませんが、

これは銅が吸収される際に亜鉛と

競合するからだそうです。

亜鉛が含まれている薬の服用でも

起こることがあり、亜鉛を含む薬剤で有名

なのが胃薬のプロマック®です。

  

ちなみに治療は原因疾患の治療と

銅の経口投与ですが、ココアや

チョコレート、レバーを食べてもらうのが

良いそうですよ。

編集長 & 高橋(初期研修医)

 

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5月は徳田安春先生です!

 

おなじみの徳田先生のカンファ

昨年度は4回もお越しいただきました。

今年度第1回目が下記日程で開催されます。

平成30年5月29日(火)11時~

*日程が変更となりました

 

いずれも院外からの参加を歓迎します!

参加を希望される方はこちらにご連絡ください!

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◆そして・・・、

第25回県央県北レジデントセミナー

平成30年5月24日(木)18:50~

水戸医療センター2F 地域医療研修センター

 

当院研修医が症例提示を行います!

 

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