臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
【症例】70歳代の発熱 その1
先日の症例を一緒に考えてみましょう。
70歳代の男性。糖尿病でインスリン療法
中ですがコントロールは良好。
そんな人が発熱、悪寒でERを受診しました。
意識は清明でバイタルは大丈夫でしたが、
Sickな印象を受けました。
血液培養を2セット採取し
発熱の原因検索を開始しました。
あなたなら、まず熱源としてどこを
探しますか?
↓
↓
ご存知の通り、発熱患者さんをみたら、
まず肺、胆道系、尿路をチェックします。
この患者さんは、咳嗽などの症状もなく
胸部レントゲンは肺炎像なし、低酸素血症も
なしでした。
尿路はCVA叩打痛もなく、尿検査も正常でした。
腹部にも圧痛なく、腹部エコーで胆嚢の腫大も
なし。採血でも胆道系酵素の異常はありません
でした。
では次はどこを探しますか?
考えてみて下さい。
↓
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上記3か所に問題がないのなら
もう一度、病歴と身体診察に戻りましょう。
もし、尿道カテーテルや点滴ライン、
CVポートなど人工物が入っている人なら
そこもチェックです。体表から見えない
人工弁やペースメーカーにも注意です。
この患者さんには人工物はありませんでした。
では、次にどこを探しますか?
考えてみて下さい。
↓
↓
この辺から膿瘍を鑑別に考えます。
膿瘍は身体所見でも採血データでも
分からないことがしばしば。
CTなど画像での検索を考えます。
じつはこの症例ですが、翌日に
細菌検査室から血液培養陽性の連絡が
来ました。そして2日後にクレブシエラと
判明
クレブシエラといえば肺炎の起炎菌にも
なりますが、胆道系感染の起炎菌としても
多いのは知っていますね?
肺炎はないと判断していたので、もう一度
腹部エコーをやったら径3㎝ほどの肝膿瘍
が見つかり、診断が確定しました。
小さい肝膿瘍で、素直なクレブシエラ
(ESBL産生株ではなかった)ので、
ドレナージなしで抗菌薬の点滴で改善しました。
発熱の原因検索では
- 肺、胆道、尿路をまずチェック
- ラインや尿道カテーテル、人工物をチェック
- それでもはっきりしない時は膿瘍を鑑別に画像検査
このような順番で考えていくと漏れが
なくなります。
実はこの症例はERで胸腹部の単純CTを
撮影されていました。しかし、見直しても
肝膿瘍ははっきりしていませんでした。
起炎菌が判明してから、改めて肝胆道系を
詳しく検索して診断に至っています。
CTでもエコーでも、鑑別を考えておかないと
見えるものも見えなくなります。病歴と
身体所見、検査所見を行ったり来たりしながら
検索を進めていくことが大事です。
(編集長)
食事介助しながら患者さんとコミュニケ―ション
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◆7月がラストチャンスです
6年生のあなたは、今も研修病院を
どうやって決めようと悩んでいませんか?
診療科とか病院HPのデータを見ても
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それには病院見学をするのが一番です。
さらに直接研修医から話を聞くのがベストです。
実際に見学に行くと、想像以上に雰囲気が
違うことに気づくでしょう。
マッチング面接が始まる前の7月が
病院見学のラストチャンスかもしれません。
ぜひとも、当院の研修医がどんなふうに
仕事しているのか、どんな生活を送っているのか、
あなたの目で確かめてみてください。
ご連絡をお待ちしています。
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もちろん、4年生や5年生でまだ時間が
あるあなたも、いつでも病院見学ができます。
リアルな研修生活をのぞいてみて下さい。
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