臨床研修ブログ

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低ナトリウム血症の対処7

2018.09.18

前回までで低Na血症の鑑別の進め方

そしてSIADHの診断、原因疾患、

治療についてまとめてきました。

 

今回は最初に提示した症例に

戻ってみましょう。

 

陳旧性心筋梗塞と心不全でずっと

外来でフォローしてきた70歳代の患者さん。

症状はないけど、いきなり低Na血症に

なってしまいました。

 

当初はフロセミドの影響を考えて中止

したものの低Na血症は改善せず、

SIADHの診断に至りました。

 

症状はなかったので、外来で飲水制限を

指示し、さらに塩分摂取を促しました。

しかし約2週間後に倦怠感とボーっとする

という主訴で外来を受診しました。

この時の血清Naはなんと102mmol/l。

 

有症状の著明な低Na血症のため即日

入院とし、高張食塩水の点滴を開始して

意識もクリアになりました。

 

しかし食塩換算で18g/日の塩分摂取を

してもNa128mmol/l前後で推移。

さらに下腿浮腫や胸水も見られるように

なったため、やむなくトルパプタンを追加

して、何とかNa130mmol/l前後の

コントロールが得られました。

 

同時に原因検索もあわせて進めました。

頭蓋内病変はありませんでした。

胸部CTでこんな所見が。

腫瘍マーカーはPro-GRPが298と高値で

気管支鏡で得た細胞診から小細胞癌と判明し

最終的に肺小細胞癌によるSIADHと

診断されました。

 

低Na血症は入院患者で最も遭遇する

頻度の高い電解質異常です。

スムーズに鑑別を進められるように、

低Na血症を見つけたら、自分で

やってみて下さい。

(編集長)

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