編集長が読んだある記事に
こんなことが書いてありました。
「もしあなたが金槌しか持って
いなければ、全ての問題は釘に
見えるだろう」
(欲求階層説で有名な心理学者
アブラハム・マズロー)
何のこっちゃと思われるかも
しれませんが、この言葉の意味は
こんなことです。
患者さんのことで、何かの問題を
解決する必要に迫られた時、
・消化器内科医は消化器内科の観点で
・消化器外科医は消化器外科の見地で
・循環器内科なら循環器内科の視点で
・看護師なら看護師の視点で
解決策を考えます。
つまり自分の持っている
「最も使いやすく手近な道具」
を使って解決する傾向が強い、
ということです。
「自分が最も使いやすく手近な道具」を
使って問題を解決するということは、
もちろん悪いことではありません。
これは言い換えれば「長所発揮」であり、
強みを生かして課題や困難にチャレンジ
することは重要です。
しかし、当然ながら全ての問題が
「自分が最も使いやすく手近な道具」で
解決できる訳ではありません。
ところが、無意識に「手近な道具」を
使って考えているので、そのことに
気づくのに時間がかかります。
これを日常臨床に当てはめると、
患者さんの問題を解決するために
カンファレンスなどで他の診療科の
先生と議論をしたり、看護師さんや
リハビリ、ケースワーカーなどと
患者さんについて意見を出し合う場が
必要ということです。
自分の診療科内だけでなく、他の
診療科や職種との議論は、自分が
気づかなかったアプローチを気づか
せてくれる貴重な機会なのです。
自分が手にしているのは、
多くの場合金槌である
ということを自覚しておかないと、
自分の知っている範囲でしか考え
なくなり、こじつけて解釈したり、
手段が目的化してしまう危険性が
あります。
医学生や研修医のあなたの強みは、
診療科や職種を気にすることなく、
いろいろな人に相談できることです。
積極的に相談して、幅広い見方を
出来るように、日々トレーニング
してください。
(編集長)
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