臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
今日は3月11日です
今日は3月11日です。
10年前は、あなたはまだ小学生とか中学生だった頃でしょうか?
2016年5月からこのブログを始めて毎年この時期は、この記事を載せています。
この記事を書いてくれた白ひげ救急医は弘前大学の出身で、医師としてのデビューが東日本大震災という強烈な場面で、その後の医師人生に大きな影響を受けました。今は別の病院で活躍していますが、何もできない立場だったとは言え、病院スタッフよりも一生懸命動き回ってくれていたのをよく覚えています。
編集長はすごくイイ記事だと思いますし、ぜひあなたにも読んでもらいたいと思います。
(編集長)
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白ひげ救急医です.
皆さんは「あの日」何をしていましたか?
僕はその頃,まだ法律的には医学部6年生.卒業は間違いないけど,国家試験の結果は出ておらず宙ぶらりんの状態.
大学のある弘前から,妻と一緒に水戸に移動して来たのはあの日の前日.半日かけて車で東北道を南下し, 水戸市内のホテルに一泊.
そしてあの日.
朝から空っぽの新居に,引っ越し業者の手によって,意外に多い量の段ボール箱を搬入してもらい,僕と妻は少し遅い昼食をとりに外出.まだ見慣れない水戸の町並みの中,全国どこでも同じデザインのコンビニの駐車場に車を入れた瞬間・・・
2011年3月11日午後2時46分
当然,新居にはまだライフラインが通っておらず,怯える妻を連れて,自然と水戸済生会病院に足が向かっていました.
学生時代から何度も病院見学をしていたので,僕の顔を覚えてくれている先生方から声をかけていただきました.妻に安全な場所を提供していただき,僕はお借りしたスクラブに袖を通し,できる範囲のお手伝いをさせていただきました.
とは言え,法律的にはただの医学生.混乱する院内で事務的な作業,搬送のお手伝い,医療資器材の運搬など,はっきり言ってこの時の事はあまり覚えていません.
何もできませんでした.おそらく,医師の資格を持っていたとしても,ほとんど役に立たなかったと思います.“何もできなかった” “何も覚えていない”ということを強烈に覚えています.
これが僕の医師人生の,そして救命医としての始まりでした.
その後,それぞれの早さで時間が流れ,救命医として勤務する中で,3月11日になると毎年「あの日」のことを思い出します.何の因果かわかりませんが,3月11日に当直を担当する事が多く,今年もまた当直に入ります.あの時何もできなかった自分と今日の自分を最大限客観視しながら,節目の日の当直を迎えます.
災害はいつ起こるかわかりません.その時医師として何ができるか.今のうちに考えてみませんか?
(白ひげ救急医)
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