臨床研修ブログ

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CDIの検査

2022.08.02

J1のカニちゃんがCDIの記事を書いてhttps://recruit.mito-saiseikai.jp/archives/4702くれました。ベッドサイドで疑問に思ったことや調べたことを、このような形でアウトプットしておくのは、効率的で良い勉強法ですよ。

 

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みなさんこんにちは。

いかがお過ごしでしょうか。世間はサル痘やコロナで賑わっていますが、私が病棟で、今まさしく直面しているのはCDIです。

 

CDIとは、Clostridium difficile infection、偽膜性腸炎のことを指します。

 

国試的には接触感染で、抗生剤使用後に発症し、下部消化管内視鏡で偽膜形成、メトロニダゾールで治療、アルコール手指消毒が無効、などなどキーワードがたくさんある疾患で、頻出の部類かと思います。

 

では実際の臨床ではどのように検査し、治療していくのか?について紹介したいと思います。

 

まず、CDIは下痢で発症します。私の経験した症例は便の硬さを示すブリストルスケールで7となる、いわゆる水様便でした。でも実はCDIは無症状から劇症型腸炎まで幅広い臨床像を示します。他には発熱と腹痛をも伴う場合もあります。抗菌薬使用に伴う下痢の20~30%、腸炎の50~75%、偽膜性腸炎の90%はこのCDIが原因とされているので、必ずしも抗菌薬使用+下痢=CDIという訳ではありません。でも、入院中の患者さんで抗菌薬使用中の下痢であれば、やはり疑って以下の検査を行います。

 

CDIの診断には便検査を行います。ここで調べるのはGDHとCDトキシンの2つです。

 

GDH(Glutamate dehydrogenase)は全てのC.difficileが持つグルタミン酸脱水素酵素のことで、これが陽性であれば菌自体が存在していることを示します。

 

次にCDトキシンは菌から出た毒素のことですが、トキシンを産生していない、つまり病原性のないCDもあります。またCDの産生するトキシンにはAトキシンとBトキシンの2種類があるのですが、これらを検出するキット(EIA法)は簡便ですが、一方で感度が低いという弱点があります。

 

お気づきでしょうか。そうなるとGDH陽性でも、菌自体は悪さをしていない場合、CDトキシンは陰性となりうるのです。また、実はトキシンを産生している(=悪さをしている)のに感度が低くて偽陰性となっている場合もあります。

 

本当に偽陰性かどうか、それを精査することができるのがNAAT試験です。

 

NAAT試験というのは、C.difficult のtoxin B遺伝子検出検査(nucleic acid amplification test, NAAT)というもので、PCR検査の1つです。こちらは手間がかかるものの、感度・特異度の高い検査になっています。

 

こちらでトキシン陽性なら、通常はCDIということで、メトロニダゾールやバンコマイシンの内服治療が開始されます。ただし、NAAT試験で陽性でも保菌しているだけということもあるので、各種ガイドラインでは臨床的な評価で診断することになっています。

 

一方でトキシン陰性の場合は、メトロニダゾールなどのCDIに対する治療は行いませんが、菌がいる状況に変わりないため、接触予防策を徹底して患者さんの治療にあたることになります。

 

いかがでしょうか?国試で文章を読めばすぐに分かるような疾患でも、検査の内容までは知らなかったなぁ、ということで、今回書かせていただきました。臨床ではおそらく避けては通れない疾患の1つだろうということもあり、この記事を書くにあたり、私自身も勉強させていただきました。

 

今後はアルコールによる手指消毒のみならず、CDIを院内に広めないためにも、こまめに手洗いも挟んでいきたいと思っています。

(カニちゃん)

毎朝の回診時のプレゼン

(繰り返すことで上手くなります)

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