臨床研修ブログ
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多発性骨髄腫 その1
今回は医学生のなお先生が書いてくれたレポートからのシェアです。なお先生は総合内科で実習をしてくれましたが、実習期間中に多発性骨髄腫の患者さんを担当してくれたので、まとめを作ってもらいました。良くまとまっていますので、ぜひご覧ください。
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症例は80歳台の男性。数か月前までゴルフをしたり、庭木の剪定をするなど元気であったが、肋骨の痛みや腰痛で近医を受診したものの原因がはっきりせず経過観察となっていた。1か月前に腰椎圧迫骨折と診断され入院したものの症状の改善が乏しく、MRIでさらに他の椎体にも骨折を認めた。血液検査で高蛋白血症(8.6g/dl)と低アルブミン血症(3.1g/dl)を認め、血清蛋白分画でM-peakが検出され、多発性骨髄腫の診断となった。
多発性骨髄腫は血液の悪性腫瘍の一つで、多彩な症候を示す難治性の造血器悪性腫瘍である。異常増殖したクローナルな形質細胞により、異常ガンマグロブリン(Mタンパク)が産生され、総タンパクの上昇がみられる場合と、ガンマグロブリン軽鎖(κ鎖またはλ鎖)が異常産生され、総タンパクの上昇はみられないものの、ベンスジョーンズタンパクとして血中・尿中に検出される場合がある。
今回の症例では、現病歴にもあるようにMタンパクが検出されているほか、入院後の骨髄検査でCD19-CD56+の異常形質細胞表面に免疫グロブリン軽鎖のλが発現していた。よって、上記の両方の所見がみられていることになる。
多発性骨髄腫の典型的な症状として高カルシウム血症、腎機能障害、貧血、骨病変があり、これらをまとめてCRABと呼ばれることが多い。今回の症例では高カルシウム血症が確認できたほか、頭部レントゲンでは有名な所見であるpunched out region、CTで胸腰椎・肋骨などに多発病的骨折を認めた(骨病変)。
多発性骨髄腫の診断や治療方針の決定のためには、骨髄検査が必須である。骨髄検査は血液やリンパのがんの診断や病系を決定するために必要な検査で、腸骨・もしくは胸骨から骨髄液を採取する検査である。
(次回は治療に関して紹介します)
(なお)
総合内科の朝カンファ
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