臨床研修ブログ

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治療可能な認知症・・・山中克郎先生のレクチャーより

2025.02.25
カテゴリー: カンファレンス 内科

2月6日に開催した山中克郎先生のレクチャーからです。

 

今回のレクチャーでは「危険な精神症状」がテーマでした。その中で取り上げられていた治療可能な認知症をシェアします。

 

71歳の女性が食欲低下を主訴に受診しました。ご本人の話では、1ヶ⽉前から⾷欲がなくなり、かかりつけのクリニックに5⽇間⼊院したら元気になった。でも 2週間前から再び⾷欲がなくなったとのこと。ところが看護師の記録では「朝⾷は全部⾷べました」とか、「⺟と同居しています。母は81歳です(本人は71歳!)。」

 

ご家族に話を聞いてみると、2週間前から⾷欲がなくなり、 1週間前からもうろうとしている。今⽇は何⽇と聞いたり、会ってもいない友達と会ってきたというようになった。幻視はない。⺟親は18年前に亡くなっているとのこと。

 

どうも1~2週間の経過で認知症の症状が悪化してきているようです。さらに身体診察では眼球運動障害も認めました。さて診断は?

診断はビタミンB1欠乏症(Wernicke脳症+Korsakoff症候群)でした。

 

Wernicke脳症は
・リスクファクターとして、アルコール多飲、がん、AIDSなど
・原因はビタミンB1⽋乏(1-2週間で⽋乏)
・症状は ①錯乱、②運動失調、③眼筋⿇痺が有名ですが、3徴がそろうのはたった30%のみで多くの患者は錯乱のみ

・治療をしないとKorsakoff症候群へ移⾏

 

Korsakoff症候群は

Wernicke脳症の後遺症として発症する認知症のことで、記銘力障害、失見当識、作話が有名です。治療法はありません。

 

そして、治療可能な認知症には以下のようなものがあるので、これらは是非とも覚えておきましょう。

・甲状腺機能低下症
・正常圧⽔頭症
・慢性硬膜下⾎腫
・ビタミンB1/B12⽋乏症
・肝性脳症
・尿毒症
・神経梅毒
・うつ病
・⾼齢者てんかん

・薬物依存

(編集長)

 

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