臨床研修ブログ

水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
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金づちと釘

2020.02.15
カテゴリー: 初期研修

発熱の患者さんがERにいました。

診察したドクターが、消化器内科医

であれば「胆のう炎はないね」とか

「胆のう炎は否定しておかないと」と

言いながらエコーをします。

 

もし循環器内科医なら、

「感染性心内膜炎は否定して

おかないと」と、エコーと血培をします。

 

呼吸器内科医なら、まず

「肺炎はないかな」とレントゲンを

見るでしょう。

 

欲求階層説で有名な心理学者

アブラハム・マズローと言う人が、

こんなことを言っています。

 

「もしあなたが金づちしか持っていな

ければ全ての問題は釘に見えるだろう」

 

この言葉の意味はこんなことだと思います。

 

患者さんのことで、ある何かの問題を

解決する必要に迫られた時、

 

消化器内科医は消化器内科の観点で
循環器内科医なら循環器内科の視点で

呼吸器内科医なら呼吸器内科の視点で

看護師なら看護師の視点で

 

つまり、自分の持っている「最も使い

やすく手近な道具」を使って解決しがちだ、

ということです。

 

「自分が最も使いやすく手近な道具」を

使って問題を解決するということが

悪い訳ではありません。これは

言い換えれば「長所を発揮する」こと

であり、強みを生かして課題や困難に

チャレンジすることは重要なことです。

 

モチロン、全ての問題が

「自分が最も使いやすく手近な道具」

で解決できる訳ではありません。

 

でも、無意識に「手近な道具」を使って

考えているので、そのこと自体に

気づかないことがあります。

 

これを日常臨床に当てはめると、

患者さんの問題を解決するために

カンファレンスなどで他の診療科の

先生と議論をしたり、看護師さんや

リハビリ、ケースワーカーなどと

患者さんについて意見を出し合う場が

必要なのです。

 

自分の診療科内だけでなく、他の

診療科や職種との議論は、自分が

気づかなかったアプローチを

気づかせてくれる貴重な機会だと

言えるではないでしょうか。

 

自分が手にしているのは、

多くの場合、金づちである

 

ということを自覚しておかないと、

自分の知っている範囲でしか考え

なくなり、こじつけて解釈したりと、

手段が目的化してしまう危険性が

あります。

 

現在、医学生や研修医であるあなたの

強みは、診療科や職種を気にすること

なく、いろいろな人に相談できる

ことです。積極的に相談して、幅広い

見方を出来るようになってください。 

(編集長)

N95マスクの付け方を講習中

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