臨床研修ブログ
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抗菌薬で胆石 その1
2020.09.08
カテゴリー: カンファレンス 感染症
3世代セフェムの代表格である
セフトリアキソン(CTRX)は、他の
セフェム系抗菌薬と違って、1日1回
投与が可能であったり、市中肺炎や
尿路感染症など、いろいろな場面で
使われる抗菌薬です。
そのCTRXには、胆石や胆泥といった
意外な副作用があるのを、あなたは
知っていましたか?
CTRX投与中にエコーなどで胆泥が
見えるのを偽胆石症というのですが、
今回はJ1のSuzuがまとめてくれた
ので、シェアします。
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CTRXの特徴として、胆汁中移行が
血 中の 20~150 倍ときわめて良好で
未変化体のまま 胆汁中に排泄される,
構造式の Na は Ca イオン との親和性
が高く,2 個の Na+が 1 個の Ca++と
結合して不溶性の CTRX カルシウム塩
となることが挙げられる。
この他,CTRX は肝での胆汁酸排泄を
阻害し胆汁中のCaイオン濃度を上昇させ
たり、動物実験で胆嚢収縮能を低下
させることなども報告されている。
偽胆石症の臨床像は
①CTRX 投与症例の 15~46% に発生
②投与開始から 2~28 日後に発 生
③投与終了後数日~60 日にて自然消失
④80% 以上が 無症状で経過
⑤50~19% に腹痛・嘔気・嘔吐症状あり
などで,まれに急性胆嚢炎,総胆管
への嵌頓,急性膵炎,閉塞性黄疸などの
合併症もあり内視鏡的 乳頭切開術や
胆嚢摘除術を必要とすることもある。
(Suzu)
CT室で画像の確認
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