臨床研修ブログ

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糖尿病のお薬・・・GLP1受容体作動薬

2024.04.09
カテゴリー: カンファレンス 内科

年度の切り替わりでちょっと間が空いてしまいましたが、今回は血糖依存性のインスリン分泌促進系薬剤のうちGLP1受容体作動薬についてです。

 

GLP1受容体作動薬は注射薬として登場しましたが、2020年から内服薬も発売されています。最近では心血管イベント減らす糖尿病薬としてSGLT2阻害薬と同様に循環器内科で処方される場面が多くなりました。

 

【機序】

・インスリン分泌を促進する消化管ホルモン(インクレチン)の一つであるGLP1のアミノ酸配列を変化させて、DPP4で分解されにくくした薬剤。膵β細胞膜状のGLP1受容体に結合して血糖依存的にインスリン分泌を促進させる。さたにグルカゴン分泌抑制作用もある。

 

【特徴】

DPP4阻害薬同様に、

・体重増加を来しにくい。

・空腹時に低血糖を来しにくい(GLP1は腸管に食べ物が入る刺激で分泌され、空腹時は分泌されない)。

・心血管イベントを減らす。

 

さらに、

・長時間分解されなくても低血糖を起こさないので1日1回投与と週1回投与の注射薬がある。

・当初は注射薬だけでしたが、2020年に経口薬も登場(1日1回朝空腹時の服用です)。

 

【禁忌】

腎機能低下例でも使用可能ですが、エキセナチド(バイエッタ®、ビデュリオン®)は透析を含む重度腎機能低下例には禁忌です。

 

【副作用】

・消化器症状:嘔気、胃部不快感、便秘、下痢、腸閉塞

(DPP4阻害薬と同様に、消化管ホルモンの作用を増強し、腸管蠕動や食欲抑制する方向に作用します)

・急性膵炎の報告がある。特に膵炎の既往がある患者には慎重投与

 

週1回の注射で済むので、アドヒアランスが保てない患者に向きます。例えば高齢者なら、家族や訪問看護師さんが週1回打つだけになるので、コントロールが安定するケースを良く経験します。一方、食欲低下作用があるので、高齢者では脱水や低栄養、サルコペニアや骨量減少など、マイナスの面が出ることがあります。体重の推移に十分注意を払う必要があります。

 

なお、Webで検索するとダイエット目的のGLP1受容体作動薬の広告がたくさん出てきますが、ダイエット目的の使用は薬機法違反になります!!当たり前ですが、やったら捕まります。

(編集長) 

あいにくの曇り空でしたが、

敷地内の桜は満開になっています

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