臨床研修ブログ
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アトピー咳嗽 その1
今回はアトピー咳嗽についてです。アトピー咳嗽は遷延性・慢性咳嗽の原因として咳喘息に続いて比較的多い疾患とされています。
病態としては、中枢気道を炎症の主座とする非喘息性好酸球性気道炎症です。好酸球性気道炎症が中枢気道に限局しているため、FeNO濃度は正常範囲内となります。
臨床像としては、アトピー素因を有する中年の女性に多く、咽喉頭のイガイガ感を伴い、気管支拡張薬が無効な遷延性・慢性咳嗽です。
ガイドラインにはアトピー咳嗽の臨床像として以下の13個が記載されています。これを記憶しておくだけでも、咳嗽患者さん対応のストレスが減ります。
・8週以上の喉のイガイガ感をともなう持続性乾性咳嗽(喀痰はあったとしても少量)
・喘鳴、呼吸困難発作を認めたことがない
・咳嗽は就寝時、深夜から早朝、起床時に多い
・咳嗽はエアコン、タバコの煙(受動喫煙)、会話(電話)、運動、精神的緊張などによって誘発されやすい
・強制呼出時にも乾性ラ音を聴取しない
・アトピー素因を認めることが多い
1)末梢血好酸球増多、2)血清IgE高値、3)血清特異的IgE抗体陽性、
4)アレルゲン皮内テスト陽性、5)喘息以外のアトピー疾患の合併または既往
・呼吸機能は正常
・気道過敏性亢進は見られない(気道過敏性亢進はCVAを示唆する)
・咳受容体感受性の亢進
・誘発喀痰中に好酸球が見られる
・気管あるいは気管支生検にて大部分の患者で好酸球性気管支炎が見られる
・BALF中に好酸球増多は見られない
・治療ではヒスタミンH1受容体拮抗薬、ステロイド薬(吸入、内服)が有効だが、鎮咳薬、抗菌薬、気管支拡張薬(β刺激薬、テオフィリン)、LTRAは無効
参考文献:咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019
(編集長)
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