臨床研修ブログ

水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
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なぜ3週間もかかったのか?

2024.01.04
カテゴリー: 初期研修

元旦と2日と年が明けて立て続けに心痛む災害や事故が発生しています。被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。1日でも早くもとの生活に戻れるようお祈りいたします。

 

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さて、先月開催された茨城県の修学生の集いで、当院のJ2が優秀賞を3名もいただきましたが、その発表からのシェアです。今回は内田先生の発表から。内田先生は地域研修として常陸大宮済生会病院で2か月間の研修を行った際に経験した症例からでした。

 

症例は70歳台の直腸がん患者。遠隔転移はないのですが、手術をすればストマ造設となる症例でした。診断もついて手術のはずが、実際に手術が行われたのは、入院してから3週間後でした。

 

なぜ3週間もかかったのでしょう?

 

実はこの患者さんは、障害者福祉施設に入所していました。手術後にストマを造設すると、術後のストマ管理は入所していた障害者福祉施設では対応できないため、新たな療養先は介護施設に移る必要がありました。

 

ご家族の居住地も施設から離れていたため、この患者さんの手術までに下記の手続きが必要だったそうです。

 

 ・障害者福祉施設の退所手続き
 ・住所変更 (現在の自治体からの転出続き+世話をするご家族の自治体への転入手続き)
 ・介護保険の申請、医療保険の手続き
 ・ストマ助成の手続き

 

ここで介護と福祉の違いをあなたは言えるでしょうか?(編集長も良く分かっていませんでした)

 

介護とは、日常生活を送るうえで歩行・排泄・食事・入浴など必要な便宜を供与すること。つまり、その人に「直接」働きかけること

 

社会福祉とは、社会生活を送るうえで児童、母子、心身障害者、高齢者などに公的な支援を行うことで、社会的制度や環境を整えることを意味するそうです。

 

 

 

単に「直腸がんだし、ストマ造設は仕方ないね」と思わずに、退院後の生活をイメージして患者さんの抱える課題を理解し、MSWなどの専門家と一緒に行動することはとても大事です。症例を通して、このような地域・社会資源の「課題」=「ニーズ」に気づいた内田先生は素晴らしいですね。あなたも、このような視点を意識できる医師になって欲しいと思います。

(編集長)

表彰式での内田先生

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