臨床研修ブログ

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抗菌薬では三角形を考える 松永先生の感染症カンファ

2019.06.13

少し間が空いてしまいましたが、

松永先生の感染症カンファからです。

 

「感染症診療の流れ」のうち、前回まで

①感染症? 感染症以外?

②診断の2つの軸

③治療の2つの軸

を紹介しました。

今回は④抗菌薬についてです。

 

個々の抗菌薬については、6月下旬に

予定されている次回のカンファで

取り上げられるはずですが、

ここでは抗菌薬を使うときの考え方を

まとめています。

 

キーワードは

「三角形を考える」

そして、

「抗菌薬は二度選ぶ」

です。

 

「三角形を考える」とは

図のように感染部位、微生物、抗菌薬の

関係を考えることです。

大腸菌による膀胱炎を例にしてみましょう。

「感染部位」は膀胱、

「微生物」は大腸菌。

「抗菌剤」は・・・、

 

よく処方されているのがキノロンです。

しかし、キノロン耐性の大腸菌が多いため、

キノロンは第1選択にはなりません。

当院のアンチバイオグラムでも、

約40%の大腸菌がキノロン耐性です。

これではいくら膀胱炎であっても、

第一選択にはなりません。

 

このように、抗菌薬を選択するときに

感受性を意識することは重要です。

しかし感受性だけで判断するのは間違いです。

もう一つ、病変部への移行性も考慮します。

 

例えば、髄膜炎を例にしてみましょう。

感染部位は髄膜(中枢神経系)、

微生物は肺炎球菌とします。

抗菌剤は、いくら肺炎球菌をカバー

しているといっても、第2世代セフェム

であるセフォチアムは髄液移行性が

悪いので使いません。

セフトリアキソン(CTRX)などの

第3世代セフェムを選択します。

 

感染部位に抗菌剤が到達するために

投与経路(静注、経口)や用量は

どうしたら良いのか?

その他に、ドレナージなど

物理的治療は必要ないか?

人工物を除去する必要はないか?

 

このように三角形の関係性を常に

意識しましょう。

 

といっても、臨床では原因微生物が

判明しないうちに抗菌剤の投与を

決めなくてはいけませんよね。

 

ここは経験的(empirical)に感染部位から

よくある原因微生物を考えて抗菌薬を

選択します。

しかし、その後に原因微生物が判明

したら、それにあわせて標的治療

(definitive therapy)に切り替えます。

これがde-escalation(デ・エスカレーション)で

「抗菌剤は二度選ぶ」ということです。

 

この2度目の抗菌薬の選択は、

十分な抗菌力があること、なるべく

カバーする範囲が狭いもの、を基準に

選択します。

 

経験的治療で上手くいっている治療を、

あえて抗菌薬を変える訳ですから

なんとなく抵抗がありますが、

「de-escalationは未来の患者さんため」

と、松永先生は強調しています。

 

AMR対策が国を挙げて進められている

今こそ、肝に銘じるべき言葉ですね。

 (編集長)

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