臨床研修ブログ

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心不全患者さんを診る時は・その4(クリニカルシナリオ)

2022.01.08
カテゴリー: カンファレンス循環器

前回は心不全患者さんの基礎疾患を探っていく時に最初に除外すべきは、虚血と大動脈弁狭窄(AS)の2つということを紹介しました。

 

虚血はSTEMIのように分かり易ければイイのですが、実際はなかなか難しいことも多いので、治療と並行しながら考えていきます。ASは聴診であなたが見つけ出せるので、ぜひ聴診器を当ててみてください。

 

さて、虚血もASでもなさそうとなれば、基礎疾患の検索は少し後回しにしてもOKで患者さんの症状を早くとってあげることが必要ですね。

 

このような初期対応で使われるのがクリニカルシナリオ(CS)です。

 

CSは基礎疾患よりは、病態を早く把握して治療を開始するためツールです。でも時々、入院していつまでも「CS1の心不全の患者さんで・・・」とプレゼンしている人がいますが、CS1は診断名ではないのでこのようなプレゼンはイケてません(笑)。

 

今回は、このCSを確認しておきます。

 

CS1:収縮期血圧>140mmHg

・急激に発症するびまん性肺水腫

・体液貯留は少ない(=浮腫が無い)

・治療はNPPV、硝酸薬

 

CS2:収縮期血圧100~140mmHg

・全身性の浮腫、体重増加を伴う

・肺水腫としては軽度

・治療はNPPV、硝酸薬、利尿薬

 

CS3:収縮期血圧<100mmHg

・低潅流が主で、肺水腫や浮腫は軽度のことが多い

・心原性ショックを含む

・治療はカテコラミン、状況によって輸液

 

CS4:急性冠症候群

・心原性ショック

・治療はNPPV、硝酸薬、PCIなどの再灌流療法

・さらにIABPやインペラなどの機械的補助

 

CS5:右心不全

・肺うっ血はなく、全身性の浮腫

・輸液負荷は避けつつ、利尿剤やカテコラミンを使用

 

ERで良く遭遇するのはCS1と2です。CS4は循環器内科医の出番ですが、CS3と5は循環器内科医でも治療が難しいことがほとんどです。

(編集長)

 

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