臨床研修ブログ

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けいれんの原因は?

2024.01.20
カテゴリー: 救命救急センター

ある日のER当直の話です。救急隊から受け入れ要請の連絡がありました。

 

70歳台の男性、突然の全身性のけいれんがあり、その後尿失禁と冷汗あり。救急隊が接触した際にはけいれんは止まっていて、麻痺無し、共同偏視なし、顔面蒼白あり。

 

さて、これだけの情報で、あなたは鑑別疾患をいくつ挙げられますか?

ちょっと考えてみてください。

いろいろあると思いますが、当然ながらてんかんをはじめとした頭蓋内疾患が鑑別に挙がりますよね。

 

ではここに、下記のような救急隊からバイタル情報が加わるとどうでしょう?

脈拍104bpm、血圧69/56mmHg、体温34.8度、呼吸数21回

 

やはり、頭蓋内疾患でよいでしょうか? 他に鑑別疾患を挙げられますか?

この症例の診断は腹部大動脈瘤破裂でした。

 

 

けいれんは頭蓋内疾患で起こりますが、通常血圧が上昇しています。一方で、頭蓋内疾患以外では血圧が低下して、脳血流が低下した時にけいれんを起こすことがあります。

 

循環器内科医でもある編集長的は、STEMIのPCI中に徐脈や心室細動を起こして、カテ台の上でけいれんされて慌てる経験は何度もあります。この症例も、腹部大動脈瘤破裂で急激に血圧が低下した際にけいれんを起こしたと考えられます。

 

けいれんと聞くと、すぐに頭部CTやMRIを取りたくなる気持ちは良く分かりますが、バイタルを確認して、血圧が高くない場合には頭蓋内疾患以外の検索を忘れないようにしましょう。

 

ちなみにこの症例は、お隣の日赤から救急科ローテで来てくれているY先生が、おなかにエコーを当てて見つけてくれました。実に素晴らしいナイスプレーでした!

(編集長)

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