臨床研修ブログ

水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
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栄養療法・・・種類は?

2021.01.07
カテゴリー: カンファレンス 内科

栄養療法は大きく静脈栄養(PN)

と、経腸栄養(EN)に分けられます。

さらに静脈栄養は末梢静脈栄養

(PPN)と中心静脈栄養(TPN)に

分けられます。

 

◎末梢静脈栄養(PPN)

peripheral parenteral nutrition

<主な適応>

・入院前の栄養状態が比較的

 良好で早期に経口摂取再開が

 期待できる場合

・経口摂取、経腸栄養における

 補充目的

・CV留置が危険な場合(自己抜去、

 重症菌血症等) など

 

<用いる製剤>

・糖質濃度10%程度の溶液→5%以下

 ではエネルギーにならない

・脂肪乳剤→用量あたりのエネルギー

 量が高く、浸透圧下げられる

・アミノ酸製剤→糖質のみでは

 異化亢進してしまう

 

<注意点>

・高浸透圧(高カロリー)輸液は

 不可(→静脈炎を起こす)

・長期に行うと中途半端な栄養

 となりかえって栄養障害をきたす

・また輸液ルートも2週間程度で

 差し替えが必要(→苦痛が伴う)

・カリウムなど血管刺激性高い

 電解質の多量投与には不向き

 

◎中心静脈栄養(TPN)

total parenteral nutrition

<主な適応>

・経腸栄養が不可能、もしくは

 必要な熱量に達さない場合

・末梢静脈栄養が長期化、もしくは

 熱量不足や水分制限が必要な場合

 →中心静脈カテーテルを使用し投与する

 

<用いる製剤>

・高カロリー製剤→おおよそ3-4日間

 で目標熱量に到達させる

・アミノ酸製剤

・脂質(PPN投与が多い)→急性

 脂質異常や膵炎に注意

・ビタミン/微量元素→長期では

 鉄やセレン欠乏に注意

 

<注意点>

・代謝性合併症: 血糖上昇、電解質

 異常、refeeding症候群など

・消化器系異常: 糖質過剰による

 肝機能不全、消化管萎縮による

 免疫低下(細菌増殖)など

・カテーテルトラブル: CRBSI

 

◎経腸栄養(EN)

eternal nutrition

<主な適応>

・重症患者の栄養療法における

 第一選択→可能な限り早期から

 開始(経口、経鼻胃管、胃瘻など)

・静脈栄養よりも感染症発生リスクの

 低下、ICU滞在日数の減少が

 示されている

 →IgAの産生や、bacterial trans

 -locationの予防

 ※死亡率低下は証明されていない

 

<注意点>

・腸閉塞や消化管穿孔、浮腫に

 よる腹腔内圧上昇例では使えない

・嘔吐/下痢やrefeeding症候群、

 NOMIなど様々な合併症を生ずる

 

次回は栄養療法の実際の考え方に

ついて取り上げます。

(Dr.K)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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◆新春企画!

Web版・個別病院説明会を

開催します。

 

そろそろ研修病院の情報を集め

始めないと。でも、Web情報だけで

いいんだろうか?

 

新型コロナの蔓延で、昨年以上に

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確かに病院見学に行く機会は減って

いますが、研修の実際を知ることは

できます!

 

昨年夏に開催して好評だったWeb版・

個別病院説明会を開催予定です。

 

開催期間

令和3年1月12日(火)

 ~1月29日(金)

*平日のみ対応

*時間はお申し込み後に調整します

 

所要時間

15~30分程度

*当院の初期研修医が直接

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Web版・個別病院説明会でお待ちしています♪

栄養療法・・・その目的

2021.01.05
カテゴリー: カンファレンス 内科

今年1発目の記事は、J1のDr.Kが

原稿を書いてくれました。

 

どの診療科でも必須となる栄養

に関しての記事です。よくまとまって

いますので、ぜひ読んでください。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

入院患者さんの管理を考える時、

私たち研修医は往々にして原疾患

の治療のことばかり考えてしまうこと

が多いですが、入院中の栄養管理も

非常に重要です。

 

健康な私たちですら1日食事を抜い

たらシンドイものです。ましてや病を

抱える患者さんたちの栄養のことは

もっと慎重かつ緻密に考えるべきでは

ないでしょうか。

 

今回から数回にわたって、主にICU

管理が必要な重症患者さんの栄養

療法について考えていきたいと思い

ます。

 

【栄養療法の目的】

特に重症患者さんでは全身の

炎症反応の影響で代謝反応や

異化が亢進し、栄養障害をきたし

てしまうことが少なくありません。

 

栄養障害が続くと感染性合併症

などのリスクとなり、死亡率上昇や

在院日数延長など転機悪化の

リスクが報告されています。

 

早期から適切な栄養療法を開始

することでストレス代謝反応を弱め、

細胞障害を防ぎ、免疫を賦活化

することで転機を改善することが

目的です。

(Dr.K)

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Dr.Kのお気に入りの1枚♪

DEEP-IN

2020.12.26
カテゴリー: カンファレンス 内科

寒くなって、入院する患者さんが

増えてきました。もともと高齢者

の入院が多いのですが、気づくと

担当患者の平均年齢が85歳を

越えていることも珍しくありません。

 

このブログでも、ときどき高齢者の

対応ポイントを紹介してきましたが、

最近はこの本がとてもよくまとまって

いるので、重宝しています。

ぜひ手に入れておくべき1冊だと

思います。

*最初のアップで、この写真が抜けていました。

大変失礼しました。

 

今回はこの本の中から、高齢者の

アセスメント法のひとつである

DEEPーINについて紹介します。

 

DEEP-IN は

D:Dementia,Depression,Delirium,Drug

 (認知機能、抑うつ、せん妄、薬剤)

EE:Eye & Ear

 (視力、聴力)

P:Fall&Physical function

 (転倒、身体機能やADL)

I:Incontinence

 (失禁)

N:Nutrition

 (栄養、体重減少)

 

お気づきと思いますが、これは

疾患を診断するものではなく、

高齢者の機能評価のツールです。

 

なので、ポイントはこのアセスメントを

「すべての高齢者に」、

「ファーストタッチの時に」

行うことだそうです。

 

詳しくはぜひ本を読んでください!

(編集長)

カルテを書きながら調べもの

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胸水 その4

2020.12.12
カテゴリー: カンファレンス 内科

前回の続きです。

今回は肺炎随伴胸水と膿胸について

シェアします。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<肺炎随伴性胸水や膿胸について>

肺炎随伴性胸水、膿胸について

調べたことを以下に箇条書きしていきます。

 

・肺炎の感染が胸膜腔にまで及んだ場合、

 肺炎随伴性胸水や膿胸が起こってしまう。

 

・これらは肺炎のcommonな合併症である。

 肺炎の20-57%で胸水を認める。2-3%では

 膿胸に進展してしまう。これらの頻度は

 上昇傾向となっている。

 

・肺炎随伴胸水から膿胸へは3段階で

 進展する。(以下はUpToDateから)

・起因菌は、どこで感染したのか、地域に

 よる流行疫学、患者さん個人のリスク

 ファクターなどにより様々である。

・胸膜腔へと感染が進展するのは、市中

 肺炎や誤嚥性肺炎で典型的である。

 市中肺炎ではGPCの頻度が高く、60%以上を

 占める。院内感染ではMRSAが28%、緑膿菌

 が5%。誤嚥性肺炎は口腔内の連鎖球菌が多い。

 

・特異的な症状はなく、肺炎と同じような

 症状であることが多い。誤嚥、口腔内

 不衛生、アルコール、iv drug、免疫抑制、

 高齢者などのリスクファクターがある場合、

 適切な抗菌薬治療を行っても改善しない

 場合は、肺炎随伴性胸水や膿胸を疑う。

(ナオちゃん)

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胸水 その3

2020.12.05
カテゴリー: カンファレンス 内科

前回の続きです。

今回は胸水についてのまとめを

シェアします。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<胸水の鑑別の進め方>

まず胸水は滲出性か漏出性かに

分けます。

 

滲出性胸水の診断基準として有名

なのが、Lightの基準です。以下の

3項目のうち1項目以上満たせば

滲出性の診断となります。

 

・胸水/血清蛋白比>0.5

・胸水/血清LDH比>0.6

・胸水LDH値が血清LDHの上限値

 よりも2/3以上

 

その他に調べると良い項目としては

主に以下が挙げられます。

 

・グラム塗抹や培養:細菌感染

・細胞数:好中球優位なら肺炎随伴性、

 悪性、肺塞栓、膵炎、リンパ球優位なら

 腫瘍性、結核性、心術後

・糖:低値だと肺炎随伴性、悪性、

 結核性、リウマチ性など

・pH:胸水の正常pHは7.64。pH<7.2の

 場合膿胸の存在を強く疑い、胸腔

 ドレナージの適応。その他膠原病や

 消化管穿孔、悪性腫瘍も疑われる

・アミラーゼ:膵炎や食道破裂

・細胞診:悪性所見がないか。ただし

 1回目の細胞診で診断できるのは

 60%程度。

 

前回の記事で、肺炎随伴性胸水の

ドレナージ適応の部分で触れましたが、

pH<7.2だと膿胸のリスクが高くなり、

ドレナージ必須です。

 

PH低下の原因としては胸水中のLac上昇、

細菌代謝によるCO2上昇が挙げられる

ようです。

 

糖の低下、LDH上昇も認められる所見

ですが、pH<7.2は単一で予後を規定する

とのことで、pHが重要な所見であると

わかりました。ちなみに、胸水pHだけでも

早く確認したい時の裏技として、採取した

胸水にヘパリンを数滴加えて血ガス用の

機械で測定する方法もあると指導医の

先生から伺い、驚きました!

(ナオちゃん)

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朝のカンファで症例のプレゼン

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胸水 その2

2020.12.03
カテゴリー: カンファレンス 内科

前回の続きです。

今回は胸膜炎の症状について

シェアします。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<症状>

肺炎と同様。胸痛がないからといって

胸膜炎を否定することはできず、

抗菌薬投与にもかかわらず改善に

乏しい場合には、肺炎随伴性胸水や

膿胸を疑わなければならない。

 

<治療>

原因に対する治療を行う。感染症に

対しては抗菌薬、癌性に対しては

抗がん剤投与など。胸水量が多い

場合は胸水穿刺も行い、癌性胸膜炎

の場合は胸膜癒着術を行う場合もある。

 

前回提示した症例は細菌性肺炎に

伴う肺炎随伴性胸水でした。この場合、

胸腔ドレナージの適応となるのは

以下のことが挙げられています。

 

・   合併疾患の存在

・   抗菌薬治療に不応性

・   嫌気性菌が原因菌

・   pH<7.2

・   胸部Xpで胸腔の50%以上の胸水

(ナオちゃん)

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カンファ中♪

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胸水 その1

2020.12.01
カテゴリー: カンファレンス 内科

J1のナオちゃんが肺炎・胸膜炎の

症例を経験して、疑問点をまとめ

てくれたのをシェアします。

 

経験した症例のことをきちんと

調べておくと、記憶に残りやすい

ですし、効率的に勉強できますね。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

60代男性

吸気時の左背部痛を主訴に来院。

血液検査でWBC、CRPが上昇し、

胸部レントゲンで左胸部浸潤影と

左胸水を認め、肺炎・胸膜炎の

診断で抗菌薬を開始始しました。

入院翌日に胸部レントゲンを再検

すると左胸水の増加を認めました。

 

胸水は増えているけれど、どういう

状況だったら穿刺やドレナージを

しないといけないのか?

胸水の検査は何をすればいいのか?

心配されている患者さんやご家族に

胸水が増えていることをどのように

説明すればいいだろう?

と疑問点がたくさんあったので、

調べてみました。

 

【 胸膜炎】

胸膜炎とは、胸膜の炎症によって

胸水が貯留した状態であり、通常は

病歴と診察で疑われ、胸部X線などの

画像検査で胸水の貯留が確認できます。

 

<診断>

胸部X線、エコー、CTなどの検査にて

胸水を認め、胸水検査によって診断される。

 

<原因>

感染症や悪性腫瘍が多い。罹患率は

地域により異なっており、日本では

癌性胸膜炎と結核性胸膜炎が多く、

全体の60-70%もの割合を占めている。

 

胸膜炎の原因はいろいろありますが、

UpToDateには以下のような疾患が

記載されていました。

 

・感染症

細菌性肺炎、結核性胸膜炎

寄生虫、真菌感染、非定型肺炎

(ウイルス性、マイコプラズマなど)

ノカルジア、アクチノミセス

横隔膜下膿瘍、脾膿瘍

肝膿瘍、肝炎、食道破裂

胆嚢炎

 

・医原性・外傷

CVカテーテルの誤挿入、移動

薬剤性、食道穿孔、食道硬化療法

胃管の誤挿入、肺腫瘍へのラジオ波

血胸、乳び胸

 

・悪性腫瘍

肺がん、リンパ腫、悪性胸膜中皮腫、

白血病、乳び胸、悪性随伴胸水

など

 

・その他の炎症性疾患

膵炎、肺梗塞、石綿暴露、放射線照射

尿毒症性胸膜炎、サルコイドーシス

ARDS、Postcardiac injury syndrome

 

・悪性腫瘍や炎症に伴う胸腔内陰圧増加

肺のエントラップメント

コレステロール胸水(結核、慢性関節リウマチ)

 

・膠原病

SLE、リウマチ性胸膜炎、MCTD

好酸球性多発血管炎性肉芽種症

(Churg Strauss syndrome)、

家族性地中海熱、

多発血管炎性肉芽腫(Wegener肉芽腫)

 

・内分泌疾患

甲状腺機能低下症、

卵巣過剰刺激症候群(OHS)

 

・リンパ管異常

悪性腫瘍、乳び胸

 

・腹腔内からの移動

膵炎、膵仮性嚢胞、Meigs症候群

乳び腹水、がん性腹水、横隔膜下膿瘍

肝膿瘍、脾膿瘍、脾梗塞

 

・その他

肺静脈狭窄、子宮内膜症、溺死

電撃症、毛細血管漏出症候群

髄外造血

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尿中肺炎球菌抗原

2020.11.17
カテゴリー: カンファレンス 内科

80歳台の男性

ADLは自立し、何とか自宅で生活

していました。今回は食欲低下と

体動困難を主訴に救急要請し、

当院に搬送となりました。

 

体温38.6度、呼吸回数22回という

以外はバイタルに問題なく、SpO2は

室内気で92%でした。

 

胸部レントゲンでは、右中肺野に

肺炎像を認め、尿中肺炎球菌抗原

検査は陽性であったことから、

肺炎球菌性肺炎による発熱、

体動困難、低酸素血症と診断しました。

 

ここで家族に検査結果等を説明して

いたら、実はちょうど1か月前に、

肺炎と診断され、かかりつけ医で経口

抗菌薬を処方されていたことが分かり

ました。その時の抗菌薬が何かは不明。

 

となると、今回の尿中肺炎球菌抗原が

陽性というのは、どう解釈したらよいの

でしょうか?

尿中肺炎球菌抗原検査はよく使われる

検査なので、ここでまとめておきます。

 

肺炎球菌の莢膜多糖を検出する

検査で、感度は70~80%,特異度は

94~99%程度

 

抗原を見ているので、抗菌薬開始後

でも診断に使えます。

 

尿中で検出されるのは、発症から3日目

以降とされ、発症直後は陽性にならない

場合があります。逆に、いったん陽性に

なると数週間から数か月にわたって

陽性が持続します。

 

他の微生物と交差反応性はありません

が、共通抗原をもつ Streptococcus mitis 

による偽陽性があります。

 

小児では、鼻咽頭に保菌している場合、

症状がなくとも陽性になることが知られ

ており、有用性は低くなります。

 

肺炎球菌ワクチン接種後の数日間は

陽性になることがあります。

 

冒頭の症例では、1か月前の肺炎が

肺炎球菌性肺炎であったかは不明ですが、

検査結果の解釈には注意が必要です。

この場合は、尿中抗原検査だけに頼らず、

喀痰のグラム染色を確認することが

鑑別に役立ちます。

 

グラム染色で陽性球菌がみられたら、

肺炎球菌と考えてOKですが、はっきりしない

場合は他の起炎菌も考慮する必要が

あります。

(編集長)

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今日も患者搬送お疲れ様です!

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鑑別疾患のあげ方(解剖学的アプローチ)

2020.11.03
カテゴリー: カンファレンス 内科

引き続き、鑑別疾患のあげ方を

紹介します。編集長が勧める

方法は2つ。

 

1つ目はVINDICATE!!!P

そして2つ目が、解剖学的アプローチ

です。

 

この方法が、具体例を出した方が

分かりやすいので、やってみましょう。

 

では、「胸痛」の鑑別をできるだけ

たくさんあげてみてください

いくつ鑑別をあげられましたか?

 

狭心症、心筋梗塞、大動脈解離、

肺塞栓、気胸・・・・

多くの研修医は、ERで見落とすと

ヤバい疾患はすぐに言えても、あまり

ヤバくない(生命にすぐにかかわらない)

疾患は、なかなか挙げられません。

 

この時、解剖学的に近い臓器や組織を

考えていくと思い出しやすくなります。

 

具体的に、胸に近い臓器は

皮膚:帯状疱疹

 

乳房:乳癌、乳腺炎

 

:肋骨骨折、圧迫骨折、骨転移

 

筋肉:筋肉炎

 

肺(さらに胸膜、肺胞、間質、気管支、

気管と分けて考えましょう)

気胸、胸膜炎、肺癌、肺炎、気管支炎

 

心臓(冠動脈、心外膜、心筋、弁)

狭心症、心筋梗塞、急性心外膜炎、

心筋炎、肥大型心筋症、大動脈弁狭窄症、

 

大血管(大動脈とその分枝、大静脈)

大動脈解離、大動脈瘤破裂

 

縦隔:縦隔炎、縦隔気腫、縦隔腫瘍

 

食道:逆流性食道炎、食道破裂、食道腫瘍

 

:胃炎、胃潰瘍、胃癌

 

肝臓:肝膿瘍、肝腫瘍

 

胆嚢・胆道:胆石、胆嚢炎、胆管炎

 

甲状腺:甲状腺炎

 

神経:肋間神経痛、帯状疱疹後神経痛

 

横隔膜:横隔膜下膿瘍

 

まだまだあると思いますが、このように

解剖学的に近いものを順に頭に浮かべて、

それに関する疾患をあげていくと

意外とたくさん出てきます。

 

臨床の現場では、前回紹介した

VINDICATE!!!+Pと、この解剖学的に

攻める方法を無意識に組み合わせて

鑑別疾患を考えていると思います。

 

医学生や研修医のうちは、鑑別疾患を

たくさんあげるトレーニングを意識しましょう。

と同時に、鑑別疾患を広げるだけでなく、

目の前の患者さんの診断に至るように

鑑別を絞り込むトレーニングも大事な

ことを忘れないようにして下さい。

(編集長)

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いくらERが忙しくても、鼻マスクはアウトですよ

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鑑別疾患のあげ方(VINDICATE!!!P)

2020.10.31
カテゴリー: カンファレンス 内科

早いもので、もう11月ですね。

J1のあなたも、だいぶ仕事に慣れて

来たはずです。J2のあなたは、

後期研修先をどうするかで、

まだ悩んでいるかもしれません。

 

研修医のうちに必ず身に着けて

もらいたいことの一つに、

「鑑別疾患のあげ方」があります。

 

鑑別疾患は、星の数ほどあるので

全部覚えることは無理です。

 

でも、鑑別疾患のあげ方(フレーム

ワーク)をおさえておくと、考え

やすくなるだけでなく、抜けが

なくなるのでぜひ覚えて下さい。

 

編集長が勧める鑑別疾患のあげ方は

2つあります。

 

1つ目は病因から攻める方法

有名な VINDICATE!!! + P

(ヴインディケイト+P)です。
 

2つ目は解剖学的に攻める方法です。

 

今回はVINDIVATE!!!+P

(ちなみに!!!にも意味があります)を

紹介します。

V:Vascular (血管系)
I:Infection (感染症)
N:Neoplasm (良性・悪性新生物)
D:Degenerative (変性疾患)
I:Intoxication (薬物・毒物中毒)
C:Congenital (先天性)
A:Auto-immune (自己免疫・膠原病)
T:Trauma (外傷)
E:Endocrinopathy (内分泌系)
!:Iatrogenic (医原性)
!:Idiopathic (特発性)
!:Inheritance (遺伝性)
P:Psychogenic (精神・心因性)

 

これは有名なティアニー先生が

紹介していたものですが、すごい

ところは全ての疾患が網羅されている

ところです。もともとティアニー先生が

病理学をやっていたので、こんな

アプローチに至ったと聞いたことが

あります。

 

原因が良く分からない、どこに

とっかかりを求めればいいのか

わからない、そんな時に呪文を

唱えながら鑑別を考えてみて下さい。

 

次回は解剖学的に攻める方法を

紹介します。

(編集長)

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