
臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
見逃すとまずい失神・・・・山中先生のZoomレクチャー
今回も山中先生のZoomレクチャーからです。
前回は「失神3兄弟」を紹介しました。そう、心血管性、神経調整性、起立性低血圧でした。
そして頻度は少ないものの、見逃すと致死的になる失神を3つを覚えておきましょうとのことでした。
あなたは分かりましたか?
答えは、
・肺塞栓
・くも膜下出血
・急性大動脈解離
これらを疑って、ERで全例造影CTを取る必要はありませんが、「攻めの問診」で疑わしいかどうかを判断しましょう。
具体的に
肺塞栓なら、最近息切れはなかったか? 手術や長時間臥床するようなことがなかったか?既往にDVTはなかったか?などを聞いてみます。
くも膜下出血の中には、頭痛を覚えていない人がいます。発症時の強い頭痛が引き金で、迷走神経反射になるのかもしれないそうですが、失神3兄弟にしっくり合致しない時は鑑別に残しましょう。
急性大動脈解離では、頸動脈に解離が進展すると脳虚血から失神を来すことがあります。もちろん、痛みによって迷走神経反射という機序もあり得ます。ちなみに片麻痺などの脳梗塞症状で来院する急性大動脈解離もあるので、注意が必要なことは覚えておきましょう。患者さんには意識を失う前に、胸や背中が痛くなかったか聞くだけでも診断のきっかけになります。
(編集長)
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レジオネラ肺炎の肺外症状
今回も3月まで当院で研修していたマナ先生の書いてくれた記事です。外来研修中に経験したレジオネラ肺炎についてです。
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50代男性、頭痛、発熱を主訴に内科初診外来を受診しました。身体所見上髄膜刺激徴候はなく、その他の部位にも明らかな感染徴候はありませんでした。採血をしてみるとCRP 45以上の著明な炎症反応上昇を認め、CTを撮像したところ著明な肺炎像を認めました。そして、検査の結果レジオネラ肺炎の診断になりました。
他の方がレジオネラ肺炎のことについてはまとめてくださっていたのですが、肺外症状から診断に至ったレジオネラ感染症を経験することができたので、今回はこの肺外症状について簡単にまとめたいと思います。
●症状
・潜伏期間は2-10日程度。
・全身倦怠感、頭痛、食欲不信、筋肉痛など全身症状から始まり、乾性咳嗽、悪寒、胸痛、呼吸苦が見られるようになる。
・傾眠、昏睡、幻覚、四肢振戦などの中枢神経系の症状や下痢が見られるのが特徴的である。
・適切な治療介入をされなかった場合、1週間以内の経過で急速に進行し、多臓器不全を呈することもある。
レジオネラ肺炎の肺外症状として見られることが知られているのは以下の症状である。
・意識障害、頭痛、腹痛、下痢、相対的徐脈、低ナトリウム血症、一過性トランスアミナーゼ上昇など
私はレジオネラ肺炎の肺外症状の知識が全くなく、外来で診察した当初は全くレジオネラ肺炎を疑うことはできませんでした。実際に頭部から骨盤までのCTを撮影して初めて肺炎に気づいた状況でした。
しかし本症例は入浴施設に行った10日後に頭痛、発熱で発症した、比較的経過としては典型的な症例であったことがわかりました。尿中レジオネラ抗原が陽性であったことからレジオネラ肺炎の診断に至り、抗菌薬治療を開始して経過は良好でしたが、診断が遅れると急速に呼吸障害が増悪することもある疾患であり、診断に至ることができ、よかったです。そして、自分が外来で担当させていただいた患者さんを入院中も担当し治療をさせていただけて心に残る症例となりました。
今後外来をするにあたって今回のように最初は診断が思いつかず難しい症例も多いと思います。研修医の間に、指導医の先生のご指導のもと内科初診外来を担当させていただける環境に感謝し、1人ひとりの患者さんから吸収し、たくさんのことを勉強させていただきたいと思います。
(マナ)
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失神3兄弟・・・・山中先生のZoomレクチャー
先週末に、山中先生のZoomレクチャーが開催されました。
山中先生は、福島県立医大会津医療センター総合内科の教授として活躍されていますが、総合内科の大御所(!)の一人です。著書もたくさんあり、ドクターGにも出演されたことがあります。
そんな山中先生とは、以前当院の小児科に勤務されていた先生が、山中先生と部活の先輩後輩という仲で紹介していただいたのがご縁です。昨年は4月にお越しいただく予定でいたのですが、新型コロナの影響でキャンセルになってしまいました。今回はZoomでのレクチャーを快諾いただき、2年ぶりの開催につながりました。
山中先生と言えば「攻めの問診」ですが、そのコツを分かりやすく教えていただきました。
今回はその中から一つ紹介します。
ERでも良く遭遇する失神(Syncope)の症例ですが、よくある原因3つ言えますか?
山中先生は「失神3兄弟」と言ってましたが、
【失神の良くある原因】
心血管性失神:心疾患、不整脈
神経調節性失神:迷走神経反射、状況失神、頸動脈洞症候群
起立性低血圧:出血、薬剤、糖尿病
では、頻度は低いけど見逃すとまずい失神を3つ言えますか?
答えは次回に紹介しますので、考えてみてください。
(編集長)
会津のきれいな風景もたくさん紹介していただきました
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SPIDDM その2(診断・治療)
前回に引き続き、マナ先生の記事です。今回はSPIDDMの診断と治療についてです。
● 診断
【必須項目】
1.経過のどこかの時点でグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)抗体もしくは膵島細胞抗体(ICA)が陽性である。a)
2.糖尿病の発症(もしくは診断)時、ケトーシスもしくはケトアシドーシスはなく、ただちには高血糖是正のためインスリン療法が必要とならない。b)
【判定】
上記1,2を満たす場合、SPIDDMと診断する。
a)IA-2抗体,インスリン自己抗体(IAA)もしくはZnT8抗体に関するエビデンスは不十分であるため現段階では診断基準に含まない。
b)ソフトドリンクケトーシス(ケトアシドーシス)で発症した場合はこの限りではない。
【参考項目】
1)経過とともにインスリン分泌能が緩徐に低下し、糖尿病の発症(もしくは診断)後3ヶ月を過ぎてからインスリン療法が必要になり、高頻度にインスリン依存状態となる。なお小児科領域では、糖尿病と診断された時点で、ただちに少量(0.5単位/kg体重以下)のインスリン投与を開始することがある。内科領域でもGAD抗体陽性が判明すると、インスリン分泌低下阻止を考慮してインスリン治療がただちに開始されることがある。
2)GAD抗体やICAは多くの例で経過とともに陰性化する。
3)GAD抗体やICAの抗体価にかかわらず、インスリン分泌能の低下がごく緩徐であるため、あるいは変化しないため、発症(診断)後10年以上たってもインスリン依存状態まで進行しない例がある。
(日本糖尿病学会2012より)
前回の冒頭で紹介した症例は、抗GAD抗体陽性となり、糖尿病診断時から当院入院前数ヶ月は内服のみでHbA1c 7%台とインスリン非依存状態であったため、SOIDDMの診断に至りました。
● 治療
・SPIDDMはインスリン分泌能が年単位で低下していき枯渇してしまうため、インスリン治療が必要になる。
・最初のインスリン分泌能が枯渇する前は内服薬で血糖コントロールが可能な場合もある。
・しかし、SU薬を使用した群と早期からインスリンを導入した群はインスリン群の方が有意にインスリン分泌能の低下が遅かったというstudyがあり、早期診断、インスリン導入が望まれる。
・内服に関しては、α-GIで食後高血糖を抑えることは可能であり、インクレチン関連薬が有効であるという報告もある。また、SGLT2阻害薬も1型糖尿病に保険適用となっており、使用可能である。
(マナ)
PICC挿入の練習中
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SPIDDM その1(疫学)
今回からは、3月まで当院でローテーションをしていたマナ先生が書いてくれた記事です。マナ先生は筑波大に戻りましたが、ブログの記事をお願いしたら、こころよく引き受けてくれました。有難うございました!
そんなマナ先生が当院で経験したSPIDDMに関してのまとめです。今回は概要と疫学です。
(編集長)
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40代女性がDKAで入院されました。救急科入院中に急性期を脱し、総合内科に転科され、そこから担当させていただきました。これまでの糖尿病の病歴を聴取していると、数ヶ月の経過でHbA1cが急激に上昇していることがわかりました。
急激な血糖コントロールの増悪を見たとき、原因として何を考えれば良いでしょうか?がんの併発、精神的ストレス、食生活の乱れ・・・
その他に忘れてはいけないものとしてSPIDDMがあります。今回の症例ではSPIDDMの診断となったので、SPIDDMとは何なのか?まとめたいと思います。
● SPIDDMとは
Slowly Progressive Insulin-Dependent Diabetes Mellitus(緩徐進行1型糖尿病)
発症時は食事、内服薬療法で治療が可能なインスリン非依存状態であるが、数年間観察していると徐々にインスリン分泌能が低下し、最終的にはインスリン依存状態に移行することが臨床的特徴。膵島細胞抗体(ICA)、抗GAD抗体、インスリン自己抗体(IAA)、IA-2抗体などの膵島関連自己抗体が重複もしくは単独で経過中持続的に陽性を示す。
● 疫学
GAD抗体陽性例に限ると、日本で2型糖尿病と思われている症例の約8%に認められる。
欧米では日本よりやや頻度が高い。
発症年齢は30-50歳と中年から高齢であることが多い。
30歳以降に発症した1型糖尿病のうち40%以上が2型糖尿病と診断されているという報告もある。
次回は「診断」と「治療」についてです。
(マナ)
先日の徳田先生カンファの一コマ
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糖尿病患者を診る時のポイント
糖尿病は全く無症状の期間が非常に長いので、症状が出現した時はすでに手遅れ・・・・、という怖い病気です。網膜症などの合併症だけでなく、心血管イベントも多いし、感染症も重症化しやすい。いろいろとマネジメントも大変なことが多いですね。
どの診療科に行っても糖尿病の患者さんに関わらないことはありません。もちろん、あなたの担当患者さんの中にも糖尿病の人がいるはずです。でも、糖尿病は耐糖能異常と呼ばれるような状態から、網膜症や腎症などの糖尿病性合併症を来した状態まで非常に幅広い病態を含んでいます。当然ながら対応すべきことが変わってきます。
では、糖尿病の対応をどうすべきか判断する時、糖尿病を持っている患者さんを問診する時、または指導医の前でプレゼンする時は、どんなポイントを押さえればよいでしょう?
ちょっと考えてみてください。
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編集長は普段から以下の4点を把握するようにしています。
①罹病期間
10年以上か10年未満か ざっくりした把握でOKです。患者さん自身が合併症のことを把握していなくとも、10年以上の罹病期間があれば、なにか合併症があってもおかしくないと捉えておきましょう。
②現在の治療内容
インスリン? SU剤? など、当然把握しておくことが必須ですし、低血糖などの合併症への対応も変わってきます。インスリンを行っている患者であれば、Ⅰ型かⅡ型かを確認しましょう。つい忘れがちですが非常に重要です。いつからインスリンを開始されたことが分かるだけでも参考になります。
③最近のコントロール
HbA1cを確認しましょう。最近は患者さんもクリニックで教えてもらっていたり、糖尿病手帳に書いてあったりします。コントロールが悪いのも心配ですが、コントロールが良すぎるのも心配です。治療内容と照らし合わせましょう。
④合併症の有無
腎症は何期?網膜症は?神経障害は?コントロールされていない網膜症がある時に急に厳格な血糖コントロールをすると、網膜症が悪化すると言われています。3大合併症以外にも、脳梗塞や虚血性心臓病などの心血管イベントも把握しましょう。
この4点を押さえておけば別の疾患で入院することになっても、糖尿病への対応を絶対に外せない患者さんなのか、慌てなくてよい患者さんなのかをおおよそ掴むことができます。
もちろん、これらのポイントを押さえておけば、プレゼンする時でも、指導医に突っ込まれた時でも、慌てなくて済みますよ。
(編集長)
先輩からの指導中@病棟
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薬物相互作用 その2
前回は、薬物動態的相互作用でセントジョーンズワートやグレープフルーツがCYP450と関係することに触れたが、このセントジョーンズワートはセイヨウオトギリソウとも呼ばれる花で、この花に含まれる成分にはセロトニンを増加させる可能性があるとして、軽度の抑うつを改善させる目的でヨーロッパを中心に用いられてきた。しかし、抑うつに対してセントジョーンズワートが有効であるとの決定的根拠はなく、日本ではあくまでサプリメントとしてDH●等で販売されている。
CYP450は消化管や肝臓に存在する代謝酵素である。薬剤がこの酵素に代謝されると薬効は失活するが、グレープフルーツジュースはCYP450を阻害するため、代謝されない薬剤が体内に残り薬効が増強してしまう。反対に、セントジョーンズワートはCYP450を活性を上げるため薬剤の代謝が更新し、通常より薬効が低減してしまう。
この相互作用により影響を受ける薬剤として代表的なものとして以下が挙げられる。
【カルシウム拮抗薬】
・強く影響を受ける:フェロジピン、ニフェジピン〔アダラート®〕、ニソルジピン、ベニジピン〔コニール®〕、アゼルニジピン〔カルブロック®〕、シルニジピン〔アテレック®〕
・やや強く影響を受ける:ベラパミル〔ワソラン®〕
・影響は弱い:アムロジピン〔ノルバスク®〕
【抗血小板薬】
シロスタゾール〔プレタール®〕
【高脂血症治療薬】
アトルバスタチン〔リピトール®〕、シンバスタチン〔リポバス®〕
【催眠鎮痛薬】
トリアゾラム〔ハルシオン®〕
【抗てんかん薬】
カルバマゼピン〔テグレトール®〕
グレープフルーツを摂取してから24時間は当該作用が残存するため、薬剤服用期間中は摂取するべきではない。
ちなみに、同じ柑橘系でもマンダリンオレンジや温州みかん、レモン、かぼすには問題となる成分は含まれておらず、摂取しても問題ない。
(Megu)
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薬物相互作用 その1
患者さんが何らかの症状を訴えて病院を受診した際、現在服用中の薬剤について確認します。病院で処方される薬剤については、お薬手帳等が普及しているので正確な把握はそう難しくはありません。
しかし稀に問題となるのは、食事やサプリメントによる薬物相互作用です。これらは正確な聞き取りが難しく、患者のみならず医療職でも見逃す可能性もあるのです。今回はそんな薬物相互作用について紹介します。
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薬物相互作用は大きく分けて
・薬力学的相互作用
・薬物動態学的相互作用
の二つに分類できる。
【薬力学的相互作用】
同じ(逆の)薬理作用をもつ薬剤や食品の併用により、互いに協力的(拮抗的)に作用することで作用が増強(減弱)すること。代表例としてはワーファリンと、ビタミンKを多く含む食品(納豆、青汁、クロレラ含有サプリメント)の併用によるワーファリンの作用減弱がある。
【薬物動態学的相互作用】
薬剤の体内動態のいずれかの過程で薬物同士の相互作用が起こり、作用が増強(減弱)すること。体内動態の過程は吸収・分布・代謝・排泄の4つに分けられるが、特に代謝の段階での相互作用が多い。代表的なものとして、グレープフルーツジュースやセントジョーンズワートとCYP450の関係がある。
次回に続きます。
(Megu)
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手術はできる?
皆さん、お疲れ様です。初期研修ももうすぐ終わる時期ですが、ついにブログデビューを果たしました(笑)。
さて、疾患として手術適応があると分かっても、いざ手術の相談をすると、外科医から「この患者さんは手術できるの?」と聞かれた経験はありませんか?特に、心疾患の既往がある人だと、必ずと言っていいほど聞かれます。そして心エコー所見(要するにEF)を聞かれます。
自分も春から脳外科に進むのですが、編集長にホントに心エコーが必要なのかと突っ込まれて即答できなかったので、まとめてみました。
対象は待機手術で、非心臓血管手術症例です。緊急症例は、たとえハイリスクでも手術をしなければ死んでしまうので、ここでは別に考えます。
各手術によって差はあるかと思いますが、大まかな目安となるものがあります。
それがMETs(メッツ;metabolic equivalents)です。
METsとは、運動強度の単位で、安静時を1とした時と比較して何倍のエネルギーを消費するかで活動の強度を示したもの、であると定められており、様々な活動の強度をまとめた表を、「METs表」といいます。
非心臓血管手術において非心臓手術術前循環器スクリーニングシートでは4METs以上の運動耐容能があるかが重要となります。ざっくりといえば、「4METs以上あれば概ね手術は耐えられる。」と言えます。
METs表には4METsの活動として、
例)ゆっくり階段を上る ベビーカーを押して歩く 庭木の剪定 etc…です。
患者さんには「二階建ての自宅で普通に過ごされてましたか?」と尋ねてみて下さい。「はい」と答えた瞬間に4METs以上確定で、運動耐術能は及第点という評価ができます。
…最初の場面を思い出してみましょう。
Q「この人手術できるの?」
A「4METs以上なの大丈夫です!」と自信をもって答えられるようになりたいです。(願望)
また、心臓の観点から手術を避けるべきタイミングもあります。
・現在コントロールできていない心不全
・直近に急性冠症候群などの冠動脈イベント
以上がある場合は、循環器内科医に要相談です。
(Unofficial 髭男dism)
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「レジナビオンライン東日本」での病院紹介動画がアップされています。
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リチウム中毒
先日こんな症例を経験しました。
手術目的で入院していた60歳台の患者さん。手術は問題なく終えましたが、食事が進まず、発熱も来しました。その頃から意識レベルの低下を認めるようになり、診察すると振戦や筋固縮がみられました。 内服薬を確認すると、以前から炭酸リチウムを服用していました。
何が起こったかというとリチウム中毒で、おそらく食欲低下と発熱を契機にリチウムの血中濃度が上昇したのだと思います。
そんなリチウム中毒についてDr.Kがまとめてくれたので、あなたもぜひ勉強してください。
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我々研修医が救急外来などで出会う中毒の症例は市販薬の過量服薬が多いかと思いますが、処方薬による中毒の原因として「炭酸リチウム」は比較的多いものです。炭酸リチウムは主に双極性障害の躁症状の改善目的に処方され、細胞膜の電位安定化に関与して薬効を発揮すると言われています。
【分類】
・急性中毒
・慢性中毒
・慢性摂取患者の急性中毒
→至適血中濃度(治療域)は0.6-1.2mEq/Lと狭い
=脱水等で血中濃度が上がると簡単に中毒を起こしてしまう
【検査所見や診断のポイント】
◎リチウム摂取歴のある患者に
・悪心/嘔吐
・言語不明瞭/傾眠(意識レベルの低下)
・焦燥/錯乱/せん妄/昏睡
・痙攣/振戦/ミオクローヌス
・失調/筋強剛/反射亢進
が見られたら中毒を疑い、血中濃度を測定する
→振戦や強剛等パーキンソニズムに近い症状が表れる(Myerson徴候なども陽性になったりする)頻度が高いため、リチウム摂取歴が不明でも急激に進行してきたパーキンソニズムに対しては鑑別として考える必要がある
<バイタルサインや血液検査>
・WBC上昇
・低血圧
・高体温
→感染症(Septic shock)との鑑別を要する
<心電図>
・陰性T波
・徐脈、脚ブロック→洞停止
【治療方針】
◎まずリチウム投与を中止
+胃洗浄はよい適応(リチウムは活性炭に吸着しにくい)
+細胞外液により脱水やNa欠乏を是正
→脱水状態では尿細管におけるリチウムの排泄率が落ち、再吸収が増加してしまう
+痙攣重積の場合にはジアゼパム静注などなど
※解毒剤はなく、重傷の際は血液透析も必要
中毒の診断は難しいことも多いですが、どんな症例に対しても詳細な病歴聴取(特に”AMPLE”の聴取)を怠らないことが重要かと思います。特に本人の意識レベルが悪い時には家族や救急隊からもしっかりと情報収集するよう心がけていきたいものです。
(Dr.K)
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そろそろ研修病院の情報を集め始めないと。
でも、Web情報だけでいいんだろうか?
新型コロナの蔓延で、昨年以上に病院見学がやりにくくなっています。
確かに病院見学に行く機会は減っていますが、研修の実際を知ることはできます!
昨年夏に開催して好評だったWeb版・個別病院説明会を開催予定です。
開催期間
令和3年1月12日(火)~1月29日(金)
*平日のみ対応
*時間はお申し込み後に調整します
所要時間
15~30分程度
*当院の初期研修医が直接あなたの質問に対応します。
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