臨床研修ブログ
水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。
梅毒の診断
前回は梅毒の臨床症状についてまとめました。今回は梅毒の診断についてです。
基本的には感染初期(第一期・第二期)以外は潜伏する疾患であるため、血清学による診断に依存します。
①非トレポネーマ抗原による検査
梅毒に感染するとリアゲンと呼ばれる脂質と反応する抗体を産生し、この抗体を検出するのにRPRやVDRLなどがあります。定量化することで疾患の活動性や治療に対する反応の指標となる点で有用です。感染直後(リアゲンに対する抗体産生まで3-6週間必要)や第三期梅毒(特に脊髄ろう)では偽陰性となることに注意が必要です。また、膠原病や急性ウイルス性疾患、Hansen病、妊婦などで生物学的偽陽性になることもあります。
②トレポネーマ抗原による検査
TPHAやFTA-ABSで検出します。感度が高く(80%以上)、感染初期や第三期梅毒で非トレポネーマ抗原抗原検査が偽陰性を示すときでも、真の陽性を示します。また特異度も高く、非トレポネーマ抗原検査による陽性が偽陽性か真の陽性かを確認できます。トレポネーマ抗原検査は一度陽性となれば生涯陽性です。
まとめると以下の表になります。
なお、どの病期であっても神経梅毒を来しうるので、常に神経梅毒も鑑別に挙げておく必要があるそうです。神経梅毒の診断は以下の条件を満たす必要があります。
・トレポネーマ抗原検査で陽性。
・髄液5mm3中に最低5つの単核細胞が存在+髄液蛋白>40mg/dL
・髄液中のFTA-ABSやVDRLが陽性。
*梅毒は5類全数把握疾患でRPR値が16倍以上の場合は7日以内に保健所に届け出が必要なことも覚えておいてください。
(新潟県産もやし)
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J2が対象ですが、関心のあるJ1や医学生も参加可能です。ぜひご参加ください。
日時:2022年9月21日(水)20時~(40分程度の予定です)
場所:Zoom
内容:①内科専門研修の概略について
②消化器内科の専門研修について
③腎臓内科の専門研修について
④循環器内科の専門研修について
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梅毒の症状
今回はJ1の新潟県産もやし先生が梅毒に関する記事を書いてくれました。
もやし先生はその名の通り、新潟大学とのたすき掛けで当院に来てくれて研修中ですが、自分の担当患者さんのプロブレムリストを整理している時に梅毒に気づき、それをまとめてくれました。主病名と関係ないプロブレムかもしれませんが、こういったことを調べていくのが、おそらく一番効率のいい勉強法だと思いますよ。
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梅毒の患者さんがいたので、テーマに分けてまとめたいと思います。
梅毒はTreponema pallidumによる感染症で、性感染症による後天梅毒と経胎盤感染による先天梅毒があります。今回は梅毒の臨床症状について記載します。梅毒は病期によって様々な症状をきたします。
【第一期梅毒(感染後3週-3カ月)】
硬性下疳(T.pallidum侵入部局所の病変で、無痛性)を生じ、治療なしでも病変は消失します。多数の病変がある場合はヘルペスと混同しやすいですが、無痛性なのが特徴的です。
【第二期梅毒(感染後3カ月-3年)】
・全身症状が強く、皮疹、咽頭痛、筋肉痛、全身リンパ節腫脹、脱毛、食思不振などを伴います。
・皮疹は多様であり、扁平コンジローマ(肛門や外陰部など扁平隆起状の結節)、バラ疹(全身性の淡い紅斑で数日で消失)、梅毒性乾癬(掌蹠に限局した皮疹)などがあります。
・第一期、第二期どちらも髄液へ感染し、髄膜炎や脳神経障害など中枢神経障害をきたします。
【早期潜伏性梅毒】
感染後1年くらいまでの時期に第二期梅毒の再発がみられ、再発を繰り返すたびに臨床像は軽度になります。
【後期潜伏性梅毒】
第三期が出現するまでのサイレント期間で、臨床的には血清検査以外の異常はほとんどありません。
【第三期梅毒(感染後3年-)】
・無治療の人の約1/3がこの病期に至るとされ、ゴム腫(皮下や骨などに肉芽腫性炎症)、心血管梅毒、神経梅毒などが代表です。神経梅毒は脳実質が障害されると進行麻痺、脊髄ろうをきたします。
・進行麻痺:感染後10-20年で人格変化や記憶障害が出現し、末期には四肢麻痺も呈します。
・脊髄ろう:感染後15-20年で発症し、電撃痛、深部感覚障害や瞳孔異常(Argyll Robertson瞳孔)をきたします。
臨床像のかなりの部分が起因菌自体の病原性よりも宿主側の免疫応答事態によるので、臨床像は非常に多岐にわたります。今回経験した症例は、後期潜伏期梅毒と考えられるものでした。梅毒の患者さんがいたら、本を見ながらでも、どの病期なのか把握するといいかもしれません。
(新潟県産もやし)
朝回診の一コマ
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CDIの検査
J1のカニちゃんがCDIの記事を書いてhttps://recruit.mito-saiseikai.jp/archives/4702くれました。ベッドサイドで疑問に思ったことや調べたことを、このような形でアウトプットしておくのは、効率的で良い勉強法ですよ。
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みなさんこんにちは。
いかがお過ごしでしょうか。世間はサル痘やコロナで賑わっていますが、私が病棟で、今まさしく直面しているのはCDIです。
CDIとは、Clostridium difficile infection、偽膜性腸炎のことを指します。
国試的には接触感染で、抗生剤使用後に発症し、下部消化管内視鏡で偽膜形成、メトロニダゾールで治療、アルコール手指消毒が無効、などなどキーワードがたくさんある疾患で、頻出の部類かと思います。
では実際の臨床ではどのように検査し、治療していくのか?について紹介したいと思います。
まず、CDIは下痢で発症します。私の経験した症例は便の硬さを示すブリストルスケールで7となる、いわゆる水様便でした。でも実はCDIは無症状から劇症型腸炎まで幅広い臨床像を示します。他には発熱と腹痛をも伴う場合もあります。抗菌薬使用に伴う下痢の20~30%、腸炎の50~75%、偽膜性腸炎の90%はこのCDIが原因とされているので、必ずしも抗菌薬使用+下痢=CDIという訳ではありません。でも、入院中の患者さんで抗菌薬使用中の下痢であれば、やはり疑って以下の検査を行います。
CDIの診断には便検査を行います。ここで調べるのはGDHとCDトキシンの2つです。
GDH(Glutamate dehydrogenase)は全てのC.difficileが持つグルタミン酸脱水素酵素のことで、これが陽性であれば菌自体が存在していることを示します。
次にCDトキシンは菌から出た毒素のことですが、トキシンを産生していない、つまり病原性のないCDもあります。またCDの産生するトキシンにはAトキシンとBトキシンの2種類があるのですが、これらを検出するキット(EIA法)は簡便ですが、一方で感度が低いという弱点があります。
お気づきでしょうか。そうなるとGDH陽性でも、菌自体は悪さをしていない場合、CDトキシンは陰性となりうるのです。また、実はトキシンを産生している(=悪さをしている)のに感度が低くて偽陰性となっている場合もあります。
本当に偽陰性かどうか、それを精査することができるのがNAAT試験です。
NAAT試験というのは、C.difficult のtoxin B遺伝子検出検査(nucleic acid amplification test, NAAT)というもので、PCR検査の1つです。こちらは手間がかかるものの、感度・特異度の高い検査になっています。
こちらでトキシン陽性なら、通常はCDIということで、メトロニダゾールやバンコマイシンの内服治療が開始されます。ただし、NAAT試験で陽性でも保菌しているだけということもあるので、各種ガイドラインでは臨床的な評価で診断することになっています。
一方でトキシン陰性の場合は、メトロニダゾールなどのCDIに対する治療は行いませんが、菌がいる状況に変わりないため、接触予防策を徹底して患者さんの治療にあたることになります。
いかがでしょうか?国試で文章を読めばすぐに分かるような疾患でも、検査の内容までは知らなかったなぁ、ということで、今回書かせていただきました。臨床ではおそらく避けては通れない疾患の1つだろうということもあり、この記事を書くにあたり、私自身も勉強させていただきました。
今後はアルコールによる手指消毒のみならず、CDIを院内に広めないためにも、こまめに手洗いも挟んでいきたいと思っています。
(カニちゃん)
毎朝の回診時のプレゼン
(繰り返すことで上手くなります)
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抗菌薬の整理法13 テトラサイクリン系
6月末にリアルで開催された松永先生の感染症カンファでは各抗菌薬を整理しました。
前回のST合剤に続いて、今回はテトラサイクリンです。
【テトラサイクリン 系】
・タンパク合成阻害
・グラム陽性菌
・大腸菌、インフルエンザ桿菌
・横隔膜より上の嫌気性菌
・非定型肺炎の起因菌
・リケッチアに対しては第1 選択
・副作用
–小児:歯牙着色(8 歳以下は避ける)
・商品名
ミノサイクリン (ミノマイシン ® ; MINO)(注;経口)
ドキシサイクリン (ビブラマイシン ® ; DOXY)(経口)
(編集長)
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抗菌薬の整理法12 ST合剤
6月末に松永先生の感染症カンファを開催しました。コロナも少し落ち着いてきたこともあって、今回は松永先生にお越しいただきリアル開催となりました。
例年のことですが、2回目は「微生物・抗微生物薬」をテーマに約3時間で、あなたの苦手な抗菌薬を一気にまとめて整理してくれます。「抗菌薬は何となく使っている」「上の先生が良く使っているから」といったレベルから、「この菌を狙うなら、この抗菌薬」という感じに、それぞれの位置づけを理解できるまでにレベルアップしてくれるレクチャーです。
以前からこのブログで各抗菌薬について紹介してきました。
そして、今回はST合剤を紹介します。
【ST合剤】
•核酸合成阻害
•グラム陽性球菌(肺炎球菌、黄色ブドウ球菌)
•グラム陰性桿菌(インフルエンザ桿菌、大腸菌、クレブシエラ)
•尿路感染症で経口薬にde‐escalationする時の候補薬
•ニューモシスチス肺炎にも用いる(予防用量と治療用量は異なることに注意)
•副作用
–血球減少
–肝障害
–腎障害
–発疹
–Stevens Johnson 症候群
•商品名:バクタ® 錠;バクトラミン ® 注
(編集長)
松永先生のカンファ風景
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化学的と物理的・・・治療の2つの軸
松永先生の感染症レクチャーから、前回は感染症【診断】の2つの軸を紹介しました。今回は感染症【治療】の2つの軸についてシェアします。
70歳代の女性が発熱で入院。CVA叩打痛と尿所見から尿路感染症と診断しました。尿培養と血液培養を採取後に抗菌薬(CTRX)を開始。培養結果は、尿も血液も素直なE.coliでした。感受性をみても抗菌薬は当たっているはず。なのに、解熱しないし、CRPも良くならない。
こんな状況に遭遇したら、あなたはどうしますか?
多くの人にとって感染症治療といえば抗菌薬の選択というイメージを持っていると思います。もちろん抗菌薬が重要な軸であるのは間違いないのですが、もう一つの重要な軸も忘れてはいけません。それが「物理的に除去する」ということです。
そもそも、抗菌薬の役割は微生物を「化学的に除去する」ことですが、用量が少なすぎたり、目的のところに十分到達しなければ効果は得られません。ドレナージや洗浄、切除(切断)、人工物の除去など「物理的に除去する」ことを外科医などと協力して治療を行うことを忘れてはいけません。
物理的に微生物を除去するのは具体的に以下のようなものがあります。
-膿瘍
-「うっ滞性」感染症
・胆石・腫瘍による胆道閉塞 ⇒ 胆管炎
・尿路結石による尿路閉塞 ⇒ 尿路感染症
-人工物
・中心静脈ライン
・動脈ライン
・人工呼吸器
・胃管
・尿カテ
・人工弁
・人工関節 など
-壊死組織
冒頭の症例は腎周囲膿瘍を来していたため、単なる抗菌薬の点滴のみでは改善に時間がかかった症例です。幸いドレナージせずに、保存的治療のみで治癒しました。感染症治療の際は抗菌薬だけで安心しないで、物理的な治療の必要性も常に考えておきましょう。
(編集長)
松永先生カンファの重要スライド
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◆次は、6月22日(水)開催のレジナビです!
レジナビFairオンライン 2022夏 東日本Week にぜひご参加ください!!
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どこで?何が?・・・診断の2つの軸
高齢の患者さんが発熱を主訴に入院してきました。脳梗塞の既往があって、ADLは一応自立していたけど、ほとんど自宅でもベッド上で過ごしているようです。食事などでむせこむこともしばしば。胸部レントゲンも右下肺野で透過性が低下しているように見える。
よくありそうな、誤嚥性肺炎の経過です。抗菌薬の点滴を開始して、徐々に解熱が得られ、全身状態も改善傾向です。ところが、2日後に判明した入院時の血液培養では、4本中4本からE.coliが検出されました。
でも、何かおかしくないですか?
ここで「肺炎なのに血培からE.coli?」と、あなたが違和感を感じたのならスバラシイ!
多くの人は「感受性もあってるし、患者さんも元気になっているし、抗菌薬はこのまま継続でいいね」としか考えません。
でも、ちょっと考えてみてください。そもそもE.coliが肺炎の起炎菌になる得るのでしょうか?
松永先生のレクチャーで何度も登場してきますが、感染症診断の2つの軸は「どこで」、「何が」でした。
「どこで(=感染巣)」が分かると、起炎菌が絞れます。
「何が(=起炎菌」」が分かると、感染巣が絞れます。
E.coliが悪さをするのは肺ではなく、真っ先に尿路感染症が思い浮かびますよね。一度誤嚥性肺炎だと診断してしまうと、たとえ尿検査で膿尿、細菌尿を認めていてもスルーされていたり、単純に結果を確認していなかった、ということが起こります。
培養結果など、後日に結果が判明するものも必ず目を通して、今までの経過と矛盾がないかを振り返ってみてくださ。
(編集長)
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◆次は、5月31日(火)開催のレジナビでお会いしましょう!
レジナビFairオンライン 6年生対象 ~今からでも間に合う!病院特集~
5月31日 18時から登場します!
ぜひご参加ください!!
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今年度1回目!・・・松永先生の感染症レクチャー
4月28日に感染症の松永先生による今年度1回目のZoomレクチャーが開催されました。松永先生の感染症レクチャーのことは、このブログでは何度も紹介していますが、今年で14年目となる当院のコアなレクチャーの一つです。
松永先生のことを紹介すると、東大医学部を卒業後に在沖縄米国海軍病院インターン、東大医学部附属病院内科研修医、そして茨城県立中央病院内科研修医を経て、2002年から米国コロンビア大学関連病院St.Luke’s-Roosevelt Hospital Center内科レジデント、2005年からUCLA関連フェローシッププログラム感染症科臨床フェローを修了されています。帰国後は東京医科大学病院感染制御部を経て、2010年から帝京大学医学部付属病院の感染制御部の准教授としてご活躍の先生です。当院には平成21年から感染症カンファや院内講演会などでお越しいただいており、現在も年5回の研修医向けの感染症レクチャーをお願いしています。
これだけ長い期間に渡って一人の感染症専門医から教えを受けるのは、なかなか無いことかもしれません。院内に10年前に松永先生のレクチャーを受けた先輩ドクターがいて、筋の通った文化のようになっているように思います。そして松永先生のレクチャーで学んだことを総合内科をローテーション中に繰り返し実践し、身につけていくていくのが水戸済生会での初期研修の強みです。
今回のテーマは、昨年同様に「COVID19感染症」のオーバービューと「感染症診療の基本」でした。COVID19については後遺症や感染対策も含めてまとめてもらい、研修医たちの断片的だった知識がすっきり整理されたようです。感染症診療の基本は非常に重要な内容なので、このブログのオープン当初からネタとして何度も紹介してきましたが、何度やっても勉強になるので、今後も復習もかねて紹介していきます。
(編集長)
このスライドが一番大事!
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【本年度最終】松永先生の感染症レクチャー
3月1日に今年度最後の松永先生の感染症レクチャー@Zoomがありました。前回はコロナも落ち着ていたのでリアル開催できましたが、残念ながら今回は再びZoomに戻ってしまいました・・・。
さて、今回のテーマは「医師も知っておきたい感染対策」
切り口としては
1、問題となる微生物を作らない
2、問題となる微生物を広げない
3、耐性菌の種類
4、結局のところ「基本の徹底」
というもので、J2にとっては2年間にわたる感染症レクチャーのまとめという内容でした。
「問題となる微生物を作らない」では、「どこで?何が?」と原因微生物と感染臓器を考えながら抗菌薬を選択し、耐性菌を生まないためにde-escalationや投与期間を考えていくという話でした。
「問題となる微生物を広げない」では、標準予防策や感染経路別(接触感染、空気感染、飛沫感染)予防策に関する話や手指衛生の話でしたが、具体的な事例と絡めて分かりやすく解説していただきました。
編集長が印象に残ったのは耐性菌のところですが、
・耐性菌の感染対策には特別なものはない
・耐性菌かどうかは、検査しなければ分からないので、標準予防策の徹底(=基本の徹底)がもっとも大切
ということを繰り返し強調していたところです。
実は、松永先生は12年前に現在の帝京大学に異動されたのですが、異動された直後に多剤耐性アシネトバクター(MDRA)による院内感染が大問題になり、その対応を仕切った先生です。編集長はその頃のご苦労もある程度知っているのですが、実感のこもった説得力のあるお話でした。
そんな松永先生の感染症レクチャーは新年度も開催されます。このブログでもアップデートしていきますので、ご期待ください。
(編集長)
もっとも大切なことは・・・「基本の徹底」
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免疫能低下と感染症2・・・松永先生の感染症カンファ
前回に続いて11月に開催された松永先生の感染症カンファからです。
テーマは「免疫能低下と感染症」で、前回は細胞性免疫の低下と液性免疫の低下を来す場合について整理しました。
今回は、好中球減少について整理します。
好中球減少を来す背景には
・血液疾患
・化学療法
・薬剤
・放射線
関連微生物として
5日未満の初期であれば
・細菌 緑膿菌、MRSA
5日以上の長期では
・細菌
・真菌 カンジダ、アスペルギルス
特に好中球減少時の発熱は、発熱性好中球減少症(FN:Febrile Neutropenia)と呼びますが、FNでは
・症状や所見がでにくい
・進行が速い
・通常みられない部位に感染症が起こる
・まれな微生物による感染症が起こる
といった特徴があります。
具体的な例を出すと
・膿尿がない腎盂腎炎
・髄膜刺激症状のない髄膜炎
・髄液で白血球上昇のない髄膜炎
・身体所見や胸部レントゲンが正常な肺炎
想像すると恐ろしい状況だと理解できると思いますが、こういったものは想定しておかないと診断・治療ができないのです。
前回の繰り返しになりますが、免疫能低下患者における感染症診療は
・感染症診療の原則は、免疫能低下患者でも不変
・免疫能低下の種類で、想定する感染症が異なる
バリア障害
生体機能異常
好中球減少
細胞性免疫の低下
液性免疫の低下
これらを想定しておかないと、診断や治療ができない
これを忘れずに診療しましょう。
(編集長)
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◆レジナビFairでの病院紹介動画が見れます!
11月30日に開催されたレジナビFairでの紹介動画(11分)を、こちらからご覧いただけます。ぜひご覧ください!
◆水戸済生会の内科専門研修説明動画はこちら
「レジナビFair 専門研修(内科)プログラム」で紹介された説明動画がご覧いただけます。