臨床研修ブログ

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心尖部肥大型心筋症(Apical HCM)

2021.07.17
カテゴリー: カンファレンス循環器

J1のSakura先生が記事を書いてくれました。既往症の中にあった疾患ですが、そのままスルーしないでまとめてくれました。こんな感じで症例をベースに勉強していくのが一番効率が良いように思います。

(編集長)

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今回受け持った患者さんに心尖部肥大型心筋症(Apical HCM)という肥大型心筋症(HCM)の亜型の方がいらっしゃったので、調べてみました。

 

このApical HCMは日本人ではHCMの約15%に見られるとされています。HCMと言えば致死的不整脈、突然死、左室流出路閉塞などのワードが浮かんでくるかと思います。しかしこのApical HCMでは左室流出路閉塞を持っていないことが多く、(狭心症、心不全、心筋梗塞、AFなどの報告はありますが)症状もほとんどない、または軽度であることが多いとされています。

 

特徴としては

・左心室拡張障害を反映しIV音を聴取および触知する

・心電図での巨大陰性T波(“Giant”negative T)が特に左前胸部誘導でみられる

  (*巨大陰性T波とは、深さが1mV(10mm)以上の陰性Tのことです)

・画像所見で拡張末期の左心室腔のスペードのような形態を認める(心尖部肥大型心筋症 画像で検索してみてください。)

・壁運動低下および動脈瘤形成を含む心尖部壁運動異常がみられる

が挙げられます。

 

治療アプローチはほとんどのHCMと同様に症候性の患者に対しては特に治療が必要になりますが、一般に心室性頻脈性不整脈や心臓突然死のリスクは低く、一時予防のためにICDを装着する必要はほとんどないと言われています。

 

死亡率の予後は良好でありますが、心房細動や心筋梗塞といった重要な心イベントの発生率は比較的高いため注意が必要です。ちなみに巨大陰性T波の鑑別は非Q波心筋梗塞やApical HCMの頻度が高いですが、鑑別診断として脳血管障害を見逃さないことも大事です!

(Sakura)

胸部誘導の巨大陰性T波(深さが10mm以上!)

心房細動もあります

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