臨床研修ブログ
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ショックの分類・・・・心源性ショック
前回はショックの定義を紹介しました。今回からショックの分類をみていきます。
ショックを理解するには、血行動態を示すパラメーターの動きを理解する必要があります。CO、PCWP、SVRなどと出てくると、苦手に思うかもしれませんが、そう難しくはありません。一度ゆっくり考えてみて下さい。理解してしまえば、何てことありません。
今回は心源性ショック(Cardiogenic shock)を取り上げます。
心源性ショックは、左室の収縮不全のため全身への血液供給が出来なくなったことによるショックです。具体的には広範囲の急性心筋梗塞などで血圧を維持できなくなったとか、心筋梗塞に伴う機械的合併症(乳頭筋断裂による急性の僧帽弁閉鎖不全や心室中隔穿孔など)、心筋炎による収縮低下などです。
心拍出量(CO)が維持できないので、血行動態のパラメーターの動きは、肺動脈楔入圧(PCWP)、肺動脈圧(PA)右室圧(RVP)、右房圧(RAP)が上昇します。血圧を維持しようと末梢血管が収縮するので末梢血管抵抗(SVR)の上昇を来します。また末梢への酸素供給を示す混合静脈血酸素飽和度(SvO2)も低下します。これらの結果として肺うっ血と尿量の低下を
来します。
ちなみにSvO2は全身を回って酸素を受け取る直前の血中酸素飽和度のことで、低い値だと
「それだけ組織で酸素が使われた」、つまり「供給が悪い」ことを意味します。正常値は70~80%です。ScvO2は中心静脈(cv)で採血した場合のものですが、ほぼ同じと考えて構いません。
治療は何とかして心拍出量を増やすことです。ただし体液量は減少していない(むしろ過剰気味)ので、輸液を入れ過ぎないことが他のタイプのショックと異なります。
肺うっ血を来すので、人工呼吸器管理やNPPVが必要になり、薬物療法としてカテコラミン(ドブタミン)で心収縮のサポートをします。
さらに原因疾患により治療が異なりますが、急性心筋梗塞なら迅速にPCIをして再灌流を得たり、心筋梗塞に伴う機械的合併症なら手術的修復を行います。
IABPやImpella、LVAD(Left Ventricular AssistDevice:エルバドとかバドと呼んでいます)など機械的な補助を行う場合もあります。急性心筋炎ではPCPS(VA-ECMO)も用います。
デバイス治療は管理も大変で高額な医療になりますが、タイミングを逃さずにこれらのデバイスを用いることが大事になります。
(編集長)
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