臨床研修ブログ

水戸済生会総合病院は、救急医療から緩和医療まで多彩な症例が経験できる総合力の高い地域の基幹病院です。
医師の生涯のうち最も実りある初期臨床研修期間を私たちは強力にサポートします。

7つのD・・・・徳田先生の症例検討カンファより

2019.06.08
カテゴリー: カンファレンス 内科

6月3日に徳田安春先生に

お越しいただき、カンファを

開催しました。

 

徳田先生は超有名なので、

紹介する必要が無いくらいですね。

著書も多数ありますし、ドクターGと

言えば患者さんでも分かってしまう

くらい有名です。

 

当院へは、年に数回はお越し

いただいていますが、今回は

茨城県の企画である

「実力派講師教育回診事業」の

一環で来ていただきました。

 

今回は、そのカンファのエッセンスを、

当院J2の「おもち」が書いてくれました。

(編集長) 

・・・・・・・・・・・・・・・・ 

こんにちは。

今回初めてブログに載せて

(編集長に書けって言われた)

いただけることになりました。

 

6月3日に徳田先生にお越し

いただきましたが、この春に

研修を始めたばかりのJ1が

最初の2ヶ月間で経験した症例を

プレゼンしてくれました。

 

症例は80才台 女性

主訴は不明熱、倦怠感、食欲不振

 

さて、あなたはどう診断していきますか?

 

不明熱の鑑別としては、

感染症、膠原病、悪性腫瘍が

一般的ですね。

 

でも、鑑別が多数挙がるため、

徳田先生は、まず患者のproblem listを

挙げることで情報を整理していきました。

 

症例のことからは外れますが、

院内発症の不明熱を見た時に

「7つのD」は役立つヒントと

なるそうです。

 

「7つのD」とは

Device          デバイス

CD               CD腸炎

Pseudogout   偽痛風

DVT              深部静脈血栓症

Drug              薬剤

Decuvitus       褥瘡

Debris  (絶食による)無石性胆泥

 

デバイスには、血管内カテーテル

尿道カテーテル、気管チューブ

経鼻胃管、シャント、ペースメーカー

などの埋め込み人工物があります。

 

他にネットでは

Deep abscess 深部膿瘍

というのもみつけました。

 

たしかに使えそうですよね。

 

ちなみにカンファレンスの症例は

血管炎が主体のSLEでした。

(おもち)

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◆第20回水戸医学生セミナー 

~内科と救急のエッセンスを体験しよう~

 

令和元年8月2日(金) 3日(土) 

2日間で開催します。

 

多発外傷患者が搬送されて来た時、

初めに何をしますか?

 

もし多数傷病者が発生する多重事故や

災害が発生した時、あなたが最初に

するべきことは何ですか?

 

大学では教えてくれない現場での対応を、

この「究極の体験型セミナー」で

身に付けてください!

 

現在参加者受付中です。

詳細はこちらから

 

 

◆病院見学や、ご質問・お問い合わせは

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心臓の聴診その4  山中克郎先生のレクチャーから

2019.04.30
カテゴリー: カンファレンス 内科

前回までは聴診器を当てれば気づける

心雑音としてASとMRを、そしてちょっと

慣れると聞き取れるARについて紹介

しました。これらの心雑音は、臨床で

遭遇する頻度が高いので、ぜひ聴き

とれるようなって欲しいですね。

 

さて、どんな雑音なのかは山中先生に

教えてもらったデモでクリアできましたが、

そもそも聴診器をどこに当てれば

よいのでしょう?

 

もし当てる位置が違っていたら、マズい

ですよね。今回はそのあたりを

整理してみます。

 

聴診器を当てる位置は、下の図のように

ポイントは5か所です。

 

①胸骨有縁第2肋間(2RSB)

大動脈弁および大動脈の音が

最も強く聴取される

 

②胸骨左縁第2肋間(2LSB)

肺動脈弁および肺動脈の音が

最も強く聴取される

 

③胸骨左縁第3肋間(3LSB)

Erb(エルブ)領域とも言われ、大動脈

および肺動脈由来の音が聴取される

 

④胸骨左縁第4肋間(4LSB)

三尖弁および右室の音が

最も強く聴取される

 

⑤第5肋間と鎖骨中線の交点(5LMCL)

心尖部領域とも言い、僧帽弁と左室の

音が最も強く聴取される

 

 

ここで注意点ですが、MRなど僧帽弁

由来の心雑音は、5LMCLに聴診器を

当てれば聴くことができます。

 

ところが、大動脈弁由来の雑音は

下の図のように、思っているより

広範囲で聴取されます。

時に胸骨付近では弱いか、聴取できない

のに、心尖部付近で聴取されることがあり、

Gallavardin現象と言われます。

 

Gallavardin現象は、編集長も何度か

騙された?経験がありますが、MRと

非常に紛らわしいので、知っておくと

役に立ちます。

(編集長) 

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心臓の聴診その3 山中克郎先生のレクチャーから

2019.04.27
カテゴリー: カンファレンス 内科

さて、今回は僧帽弁閉鎖不全症(MR)の

聴診についてです。

 

MRの雑音は、「心尖部を最強点とする

汎収縮期雑音で左腋窩に放散」

表現されます。

 

ASの駆出性収縮期雑音と並んで

聴診器を当てれば、

「何かへんだぞ?」

と分かります。

 

医学生や研修医のあなたには、

前回紹介したAR雑音は聞き逃しても

仕方ないと思いますが、ASとMRは

聞き逃してほしくありません。

 

汎収縮期雑音がどんなものかを

山中先生はこんな方法を教えて

くれました。

 

①自分で聴診器を耳にかけて、

②膜型を手のひらに当てて握ります。

③その手首を指でなぞってください。

 

これがMRの汎収縮期雑音です。

さらに聴診器の位置を心尖部から

左腋窩に少しづつずらして聞いて

みましょう。

 

もし、背中でも聞こえたら、

その雑音は間違いなくMRです。

背中の心雑音(昨年の記事)はこちら

 

 

(編集長)

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松永先生の感染症カンファ

今年度で11年目となる伝統(?)の

感染症カンファです。年5回開催のうち

今年度第1回目が下記日程で開催されます。

平成31年4月30日(火)13時~

 

院外からの参加を歓迎します!

参加を希望される方はこちらにご連絡ください!

http://www.mito-saisei.jp/resident/contact.html 

 

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「睡眠剤を下さい」と言われたら

2019.04.25
カテゴリー: カンファレンス 内科

少し長く入院している患者さんの

ことで、ある日担当の看護師から

「このところ眠れていないようなので、

睡眠剤を処方はどうでしょう?

検討してください」と言われました。

 

こんな時あなたはどう対応しますか?

きっと仕事の早いあなたは

すぐに睡眠剤を処方して

看護師さんに感謝されます。

 

でも、これでいいのでしょうか?

 

「眠れない」と言われたときは、

反射的に睡眠剤を処方する前に

することがあります。

 

まず、どんなタイプの睡眠障害なのか?

入眠障害?中途覚醒?早期覚醒?

それとも熟眠障害?

 

それから、就寝時間や起床時間など

生活リズムを必ず聞きましょう。

 

例えば、ご高齢の方だと、17時には

夕食を摂って、18時には入浴し、

19時には就寝するという人に

しばしば遭遇します。

 

こんな生活パターンの方が、夜中の

1時に目が覚めて、その後は眠れない

と言っても当たり前です。6時間は

眠っているわけですから・・・・。

こんな時は、まず就寝時間を

遅くしてもらうのが先です。

 

入院中の患者さんで、今まで訴えが

なかったのに不眠を訴えるのであれば、

ほかの理由が隠れているかもしれません。

 

同室者がうるさい、手術前で緊張している、

といった環境の影響かもしれません。

他には、心不全の悪化で苦しくなるので

眠れない、などです。

 

このあたりを確認しないで、睡眠剤を

処方するのは何の解決につながらない

こともあります。

 

実際に患者さんから話を聞くだけで

安心してくれて、結果的に睡眠剤は

不要ということもよくあります。

 

ですから、冒頭のように看護師さんに

言われたら、まず患者さんのところに

行って、話を聞いてみてください。

(編集長) 

*実は睡眠障害は奥が深い分野で、

睡眠障害国際分類(ICSD-3)などでは

睡眠障害が7つのカテゴリーに分類され、

不眠症だけでも原因別に11個に

分類されています。睡眠医学に

興味のある方は「極論シリーズ」も

おすすめです。

 

山中先生の身体診察レクチャー

昨年に引き続き、イケメン研修医がモデル役

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松永先生の感染症カンファ

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心臓の聴診その2 山中克郎先生のレクチャーから

2019.04.23
カテゴリー: カンファレンス 内科

前回は大動脈弁狭窄症(AS)の聴診

について紹介しました。今回は

大動脈弁閉鎖不全症(AR)についてです。

 

ARの雑音は、

「第3肋間胸骨左縁を最強点とする

拡張期灌水様雑音」

と表現されます。

 

ARで聴取される拡張期雑音は

簡単に聞き逃してしまいます。

しかも、拡張期灌水様雑音と言っても

ピンときませんが、拡張期に

早期漸減型の雑音を聴取します。

 

これを聞き逃さないためのコツは、

正しい体位をとることです。

患者さんを前傾姿勢にして、

胸壁と心臓を近づけると聴取

しやすくなります。

 

それからARで聴取される、

早期漸減型の拡張期雑音が

どんなものなのかを知っておく

必要があります。

 

前回同様に、山中先生から

こんな方法を教えていただきました。

  

①自分で聴診器を耳にかけて、

②膜型を自分の頸部に当てます。

③そっと「はーっ」と声を出してみてください。

これがARの拡張期雑音です。

実際の患者さんでは、Ⅰ音とⅡ音を

同定したら、Ⅱ音のあとにこの音を

探してみてください。

 

この拡張期雑音が分かるようになれば、

あなたの聴診スキルはかなり上達して

いるのは間違いありません。

自信を持って、どんどんやってみてください。

(編集長)

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心臓の聴診その1 山中克郎先生のレクチャーから

2019.04.20
カテゴリー: カンファレンス 内科

先日お越しいただいた山中先生から

身体診察法を教えていただきました。

その中からイイところをご紹介します。

 

心臓の聴診は全然わからない、

という人は多いと思います。

 

でも、大動脈弁狭窄症(AS)の心雑音は

分かりやすいので、聴診器を当てれば、

診断できなくとも「何かへんだぞ?」と

気づくはずです。

 

ASの聴診は

「第2肋間胸骨右縁(2RSB)を最強点と

するダイヤモンドシェイプの駆出性雑音

で頸部に放散する」

と表現されます。

 

もし、プレゼンテーションでこう言われれば、

これはASのことだと理解してください。

 

実際の患者さんで聴診できれば、

きっと忘れないのですが、いつでも

できる訳ではありませんよね。

そこで山中先生はこんな方法を教えて

くれました。

 

初の動画使用です!

 

①自分で聴診器を耳にかけて、

②膜型を手のひらにおいて握ります。

③その手の甲を動画のように指1本でたたいて

すぐ丸を書きます。

 

これがASの心雑音

編集長は知らなかった技ですが、

実際の心雑音によく似ています。

ぜひやってみてください。

 (編集長)

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糖尿病の患者さんを診る時は・・・

2019.04.18
カテゴリー: カンファレンス 内科

どの診療科に行っても糖尿病の

患者さんに関わらないことは

ありえません。

 

でも、糖尿病は耐糖能異常と呼ばれる

ような状態から、網膜症や腎症などの

糖尿病性合併症を来した状態まで

非常に幅広い病態を含んでいます。

 

血糖が高いだけで全く無症状の期間が

非常に長いので、症状が出現した時は

すでに手遅れ・・・・、という怖い病気です。

合併症だけでなく、心血管イベントも多いし、

感染症も重症化しやすい。いろいろと

マネジメントも大変なことが多いですね。

 

さて、あなたの担当患者さんの中にも

糖尿病の人はいるはずです。では、

糖尿病を持っている患者さんを問診する時、

または指導医の前でプレゼンする時は

どんなポイントを押さえればよいでしょう?

ちょっと考えてみてください。

編集長は普段から以下の4点を把握する

ようにしています。

 

・罹病期間 

10年以上か10年未満か ざっくりした把握で

OKです。患者さん自身が合併症のことを

把握していなくとも、10年以上の罹病期間

があれば、なにか合併症があっても

おかしくないと捉えておきましょう。

 

・現在の治療内容 

インスリン? SU剤? など、当然把握して

おくことが必須ですし、低血糖などの合併症

への対応も変わってきます。

 

・最近のコントロール 

HbA1cを確認しましょう。最近は患者さんも

クリニックで教えてもらっていたり、糖尿病

手帳に書いてあったりします。コントロール

が悪いのも心配ですが、コントロールが

良すぎるのも心配です。治療内容と

照らし合わせましょう。

 

・合併症の有無 

腎症は何期?網膜症は?神経障害は?

コントロールされていない網膜症がある時に

急に厳格な血糖コントロールをすると、

網膜症が悪化すると言われています。

3大合併症以外にも、脳梗塞や虚血性

心臓病などの心血管イベントの把握は

大事です。

ERで朝のブリーフィング

 

例えばER当直で糖尿病の患者さんを

診察する時に、これらを4点を押さえておけば、

別の疾患で入院することになっても、

糖尿病への対応を絶対に外せない患者さん

なのか、慌てなくてよい患者さんなのかを

おおよそ掴むことができます。

 

また、これらのポイントを押さえておけば

プレゼンする時でも、指導医に突っ込まれた

時でも、慌てなくて済みますよ。

 (編集長)

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山中克郎先生にお越しいただきました

2019.04.13
カテゴリー: カンファレンス 内科

4月12日に福島県立医大会津医療

センター総合内科の山中克郎先生に

お越しいただきました。

 

山中先生は著書も多く、またNHKの

ドクターGにも出演されたことがあるので

ご存知の方も多いと思います。

 

 

以前は藤田保健衛生大学の救急総合

内科教授として、その後は諏訪中央病院

総合内科でお仕事をされていましたが、

この春から会津医療センターに移られました。

 

昨年も当院にお越しいただき、研修医に

大変好評だったので、今年もお願いして

来ていただきました。

 

今回も、ベッドサイドを含めた症例検討と、

診察の心構えや身体診察のレクチャーを

していただきました。

 

症例検討では、入院して日が浅い、

まだ診断のついていない患者さんを

ベッドサイドでの時間を長くとりながら、

検討していきました。

 

その後のレクチャーもスライドを使わない

インタラクティブな内容で、みんなを

飽きさせない素晴らしいものでした。

 

夜は研修医たちと一緒に会食にも

お付き合いいただき、とても楽しく

あっという間に時間が過ぎていました。

 

山中先生どうも有り難うございました!

(編集長)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

◆次は、松永先生の

 感染症カンファ

今年度で11年目となる伝統(?)の

感染症カンファです。年5回開催のうち

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嘔気の鑑別  その2

2019.01.19
カテゴリー: カンファレンス 内科

前回は嘔気の鑑別を紹介しました。

「嘔気」をキーワードにすると

鑑別が非常に多くなってしまいますが、

カテゴリーで考えていくと、少し楽に

なります。

 

では今回は提示した症例について

考えてみましょう。

 

前回提示した症例は60歳代の女性で、

それまで医療機関にかかったことが

無い元気な方が、2週間前から嘔気と

食欲低下を訴え外来受診しました。

 

この時の外来ではバイタルも身体所見も

問題なかったので、メトクロプラミド

(プリンペラン®)を処方されたけど

その後も症状が改善せず、再度受診し

たので、これからあなたが診察する

という設定です。

 

どんなことを聞き出せばよいか?

鑑別疾患を想定しながら問診を

進めていきます。

 

例えば

消化管疾患なら、

・下痢や嘔吐はあるか?

・腹痛の有無、

・開腹手術歴

・健診歴(胆石の有無など)

・食事や旅行歴

 

全身性疾患や内分泌代謝疾患

・発熱の有無

・体重の増加・減少

・皮膚や関節の症状

・嘔気の増悪、寛解因子

・顔貌

 

中枢神経疾患

・頭痛の有無や体位での変化

・歩行障害

・意識変容などの有無

 

泌尿器・産婦人科疾患

・腰痛や血尿の有無

・妊娠歴

・月経周期

・月経困難症の有無

 

 薬剤・中毒

・服薬歴

・職業歴

・居住地域

 

他にもいろいろありますが、

少なくともこの辺は確認したいところです。

さらにOPQRSTを加味しながら鑑別を

絞っていきます。

OPQRSTとは?

 

しかし、この症例は喫煙歴がある程度で

あまり病歴から絞り込みができず、

神経学的所見も含めて、身体所見でも

明らかな異常は見当たりませんでした。

 

採血検査も軽度の脱水がありそう

でしたが、2週間持続する嘔気を

説明できる異常はなしでした。

 

ところがルーチン検査として施行した

胸部レントゲンで左肺野に異常陰影を

認めたのでCTを施行すると・・・・、

肺に腫瘤影が・・・・。

となると、採血で高Ca血症はなかったので、

頭部CTを施行しました。

 

右小脳に怪しい影を認めました。

造影MRIを施行すると、

 

診断としては肺癌と転移性脳腫瘍でした。

 

脳腫瘍であれば、頭蓋内圧が上昇する

臥位で頭痛が増強してもよさそうですが、

この症例では認めず、絞り込みが

上手くいかなかったケースです。

 

一般に、嘔気というと消化管疾患を

考えますが、鑑別は幅広く、中には

脳腫瘍や心筋梗塞など重篤な疾患が

隠れていることがあります。

 

よくよく病歴を聞き出して、少ない検査で

診断にたどり着けるように意識しながら

診察してみてください。

(編集長)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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いくつ言えますか? 嘔気の鑑別

2019.01.15
カテゴリー: カンファレンス 内科

60歳代の女性

それまで元気で医療機関にかかった

ことが無い方でしたが、約2週間前から

嘔気を訴えるようになり、徐々に食欲

低下を来しました。外出もしなくなった

ので家族が心配して外来を受診しました。

 

この時の外来ではバイタルも身体所見も

問題なかったので、メトクロプラミド(プリン

ペラン®)を処方され経過観察となりました。

しかしその後も症状が改善せず、再度

受診しました。

 

さて、もしあなたがこの患者さんを診察

することになったら鑑別は何を考えるでしょう?

 

ご存知の通り、鑑別を考えていくうえで

何をキーワードにするかは重要です。

キーワードの設定で鑑別疾患の数が

大きく変わってくるからです。

 

「嘔気」は鑑別疾患が多すぎるので、通常は

別のキーワードと組み合わせて考えます。

 

ただ、この症例が最初に受診した時は

嘔気以外のよいキーワードが見つけ

られませんでした。

 

2度目の受診では鑑別を絞るための

問診をしなければいけませんが、

その時に鑑別疾患が頭に浮かんで

いないと上手く聞き出せません。

 

「嘔気」の鑑別カテゴリーとしては

・消化管疾患

・全身性疾患

・中枢神経疾患

・内分泌・代謝疾患

・泌尿器・産婦人科疾患

・薬剤・中毒

・その他

 

ここで全部書くことは無理なので、

ごく一部だけを紹介します

 

・消化管疾患

閉塞性と非閉塞性に分けられます。

非閉塞性なら、胃炎、消化性潰瘍、

胆石発作、肝炎、腹膜炎などなど

 

・全身性疾患

急性感染症、心不全、急性心筋梗塞、

強皮症、アミロイドーシスなどなど

 

・中枢神経疾患

頭蓋内圧が亢進する疾患(脳腫瘍、外傷)

めまいを呈する疾患(メニエル病)

眼科疾患(緑内障)

片頭痛・てんかんなどに分けて考えます。

 

・内分泌・代謝疾患

糖尿病性ケトアシドーシス、尿毒症、

高カルシウム血症などなど

 

・泌尿器・産婦人科疾患

腎盂腎炎、尿路結石、子宮内膜症など

 

・薬剤・中毒

抗がん剤、アルコール、抗コリン剤、

モルヒネ、一酸化炭素、重金属、

NSAIDSなどなど

 

・その他

妊娠、妊娠中毒症など

 

嘔気だけで考えると、鑑別があまり

思いつきませんが、カテゴリーで

考えると、意外と多くの鑑別疾患を

挙げることができます。

 

さて、あなたはいくつの鑑別を挙げる

ことができたでしょか?

(編集長)

 

水戸医学生セミナーでの一コマ

(ラリー前にお手伝いの救急隊員とシナリオの確認中)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

◆第19回水戸医学生セミナー 

~内科と救急のエッセンスを体験しよう~

 

平成31年3月2日(土) 3日(日) 

2日間で開催します。

開催概要はこちら

 

五感をフルに使って真剣に身体診察に取り組み、

身体診察後の詳細なフィードバックを受ける。

 

すると、あなたはもう一度ベッドサイドに

行ってみたくなるはずです。

 

あなたは身体診察のみで、どこまで診断に

迫れるのか?ぜひ挑戦してみて下さい!

 

水戸医学生セミナーは、大学の授業で

体験できない、内科と救急のエッセンスを

盛り込んだ「究極の体験型セミナー」です!

 

現在参加者受付中です。

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申込みの詳細はこちらから

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